今回は消費者金融の審査の現場に、10年以上在籍していた、大手消費者金融の現役社員の方に、筆者(=もぐお)が話を聞いてきました。
大手の消費者金融では、どんな審査が行われているのか、また取り立てはどんな風に行われているのか等、現場で働く方の話が聞けました。
今後、消費者金融の審査を受ける方は、是非参考にして下さい。
目次
大手の消費者金融の審査体制は?
あなたの経歴を教えて下さい
新卒で某大手の消費者金融に入社し(社名は勘弁してください)、12年ほどになる。
都内で3つの支店に勤務し、3店目では店長を経験した。
昨年まで審査業務を担当していたが、今年になり(法人相手に取引を行う)子会社へ出向している。
審査の経験が長いので、消費者金融の審査なら、ある程度答えられると思う。
<関連記事>:消費者金融の審査基準について
消費者金融の審査はどこで行ってるの?
過去は各支店ごとで審査を行っていたが、現在は某所にある「センター」で、会社全体の審査を一括管理している。
このセンターは、取り立て業務も請け負っている。
現在の支店の役割は、当社で扱うローン商品を既存のお客さんに提案すること。
支店に無人契約機は設置されているが、支店のスタッフが受付窓口になることはない。
申し込みの受け付けも、センターで一括管理している。
消費者金融で審査は、どんな風に行われてる?
審査はスコアリングと目視で行われる
審査はスコアリング評価と、目視の2つでチェックしている。
スコアリング評価とは、お客様が入力した個人情報を元に、機械的に点数化する手法のこと。
このスコアリング評価の点数が低いと、ここで融資をお断りしている。
スコアリング評価を通過した人には、社員が自分の目でお客様情報を確認する。
スコアリング評価の点数が良くても、ここで審査に落ちる(=融資をお断りする)こともある。
目視チェックを通過したら、お客様と借り入れ契約を結ぶ。
<関連記事>:カードローンの審査の流れと審査基準
スコアリングで点数と限度額を自動で計算
当社ではスコアリング評価で、お客様を15段階に分けて点数化している。
0点から14点までで、0点が最低点で14点が最高点である。
また点数と同時に、当社として提示できる借り入れ限度額も算出される。
点数と限度額は、密接に関係してる。
例えば0点の場合なら限度額は10万円程度、2-5点の場合50万円程度、7点なら100万円程度といった具合。
0点でも貸出可能と不可の、2パターンに別れる。
貸出不可なら0点で限度額0円と出て、ここでお断りとなる。
それ以外に信用情報機関に照会して、事故情報の記録が残ってる人も絶対に不可。
点数が0点でも限度額が10万円と出たら、とりあえず目視チェックへと審査は進める。
0点だから絶対に審査に落ちる訳ではないが、上で説明した通り、通ったとしても限度額は極めて少ない。
<関連記事>:【元銀行員が解説】金融事故情報(ブラックリスト)とは?
スコアリング評価で特に重視される項目は?
最初に断っておきたいのは、スコアリングの評価方法は、時代によって変化する。
当社でもすでに、4回ほどスコアリングの評価改定を行っているので、将来的にはまた変化するかもしれない。
現在のスコアリング評価で、特に評価されるのは3つある。
一つ目は年収で、高ければ高いほど、スコアリング評価は高く出る。
ただし年収が低ければ、確実に審査に落ちる訳ではない。
極端な話、年収が100万円でも審査に通ることは可能だが、借入限度額(=契約額)は少額になる。
二つ目は、独身か既婚かで、スコアリング評価が大きく違う。
既婚の方がスコアリング評価が高く、未婚は低く出る。
これは未婚の方が、何かあった時にすぐ逃げられるから。
三つ目は、住まいの所有区分について。
一番評価が高いのが、本人名義の持ち家である場合。
次に家族と同居の場合で、次が賃貸物件に住んでる場合。
一番評価が低いのは、「~様方」のように居候している場合や、ルームシェアの場合。
簡単に逃げ出すことも出来るので、評価を下げるポイントとなる。
その他、スコアリング評価で注目される箇所は?
他社借入の申告と、実際の借り入れ額との差額も評価ポイントとなる。
申し込みの際に他社借り入れを申告するが、信用情報機関から得られるデータと違っていたら、差額が大きいほど評価が下がることになる。
申告でウソをつく(もしくは自身の正確な借入額を把握できてない)ケースは、評価を下げることになる。
勤務先が上場か非上場かも、評価に関係してくる。もちろん上場会社の方が、評価が高い。
あと本人確認書類として免許証を持っていないだけで、審査ポイントが落とされる。
これは社会人として、当然持っている(であろう)本人確認書類を持っていないため、他でも生活スタイルに問題があるかもしれないと考えるため。
ちなみに職業で評価ポイントが変えることを、当社では行っていない。
例えば水商売とか自営業者とかトラック運転手とか、他社では評価を下げるポイントかもしれないが、当社では評価を下げることはしていない。
<関連記事>:自営業がカードローン審査で知っておきたいこと
目視では、どこを見られる?
まず提出書類と、申告内容の整合性(=合っているか)を見る。
例えば申告の年収が1800万円なのに、提出された年収証明書が800万円だとしたら、再度スコアリング審査にかける。
また本人の職業がトラック運転手なのに、提出された本人確認書類が免許証でない場合は、「疑わしい人」ということで、より厳しく申告項目はチェックされる。
無人契約機ボックス内での立ち居振る舞いも、割と見ている。
契約機内で挙動不審な振る舞いをしていたら、評価ポイントとしてはマイナス。
これは私自身の経験だが、スマホの画面が割れている人は、かなりの確率で事故(=延滞)を落とすことが経験上分かっており、目視の審査では落とすことが多い。
いや、断る。ただそこは事前に説明しておき、トラブルにならないよう対処している。
つまりウェブの審査に通ったとして、契約機ボックスでの振る舞いによって、断ることもある。
これと逆のケースもある。
スコアリング評価では50万までしか貸せないという結果が出ても、目視の結果、もう少し貸して良いと判断された場合。
担当者の判断で、(総量規制の範囲内で)限度額を引き上げることもあり得る。
<関連記事>:無人契約機でお金を借りる!おすすめの消費者金融は?
消費者金融の増枠提案、審査について
なぜ増枠提案を行うの?
お客様の返済に問題がなければ、借入枠の増額の提案を営業店で行うことがある。
提案提案には、いくつかパターンがある。
まず一つは、収益拡大のために行う。
営業店(=支店)の役割は、既存のお客様により多く借りて頂いて、収益を上げること。
そのため返済が見込めそうなお客様には、営業店の社員が借入枠の増枠提案を行うことがある。
二つ目は、収入証明書の提出を求めるため。
借入希望額が50万円以下なら、お客様に収入証明書の提出義務はないが、当社では与信管理の観点から、提出をお願いしている。
ただし「ただ収入証明書を出して!」ではお客様も納得しないので、増枠をバーターにすることで、収入証明書の提出をお願いしている。
また金利を下げるという条件で、増額提案することもある。
例えば現在30万円で金利18%の人に、「80万円にする代わりに金利17%でどうでしょう」という提案はよく行う。
ただし金利を下げてほしいというニーズは、あまり強く感じられない。
それよりも借入箱を増やしてほしい、という要望の方がよほど多い。
<関連記事>:消費者金融の金利相場は?金利はどうやって決まるの?
なぜ会社から提案しといて、審査で落とすの?
それは、申し訳ない(苦笑)。
先ほども書いた通り、借入枠の増枠提案は、営業店で行う。
一方で、増枠の審査はセンターで行うため、センターの審査基準に満たない人は増枠を断ざるえない場合がある。
営業店としても、こうしたこと起きないよう増枠の審査に通りやすそうな人にだけ、提案を行うようにしている。
とはいえ実際に審査する人間は別にいるため、営業店の考えに反して、増枠審査に通らないこともある。
<関連記事>:カードローンの上限の借入限度額は?
消費者金融の途上与信、取り立てについて
途上与信について
当社では、貸金業法に沿った途上与信を行っている。
途上与信の結果、事故情報が入ってくれば、そこから新規の貸出は一切行なわれない。
仮に借入枠が残っていても、お客様は一切の借り入れが出来なくなる。
ただし仮に事故情報が確認できても、当社から一括返済を求めることもしない。
また途上与信で他社の借入額はチェックしており、総量規制の分を上回ったら、新規の貸し出しには応じない。
<関連記事>:途上与信とは?審査の仕組みを解説します
返済遅れに対して、1日に3回電話をする
返済期日から4日遅れまでは、それほど目立った取り立てはしないが、5日目から「自動電話システム」に登録される。
ここに登録されると、サポートセンターから自動的に電話が掛かる形になっている。
1日に3回ほど電話がかかり、電話がつながると、ヘッドセットを付けた担当者が利用者に返済をお願いする。
会話の時間そのものは5分未満だが、これが毎日1日3回ずつ行われる。
これ以外に、返済期日から1週間以上経つと、返済を催促する郵便(督促状など)を自宅に送り、時間が経つごとに催促の度合いを強める。
お客様のご自宅への、直接の訪問は当社では行ってない。
<関連記事>:消費者金融の取り立ては怖い?元銀行員が教える督促の流れと対処法
勤務先へ電話はするの?
当社では、勤務先への電話は原則行っていない。
ただし利用者の携帯が電話に出なかったり、督促状が自宅に届かず送り返された場合は、勤務先に電話を掛けることはある。
もちろん担当は個人名を名乗る形で電話をするなどして、勤務先に知られないよう配慮はする。
<関連記事>:消費者金融が会社(職場)に電話をするのはナゼ?
事故情報の登録、法的手段について
返済日から90日過ぎても返済がない場合は、「延滞」として自動的に事故情報に登録される。
返済期日から6ヶ月経ったところで法的な手段に入り、このタイミングから電話での督促は止める。
最後は法的処置により、勤務先への給与の1/4差し押さえなどを行われる。
<関連記事>:借金返済ができない場合、どこに相談すれば良い?
さすがに消費者金融の現場に10年以上勤めている方だけあって、(ここに書けないことも含めて 笑)色々と興味深い話が聞けました。
印象的だったのは、申告された借入額と実際の借入額の違いや、申告内容と提出書類の違いなど、申込者の「ウソ」に対して会社は厳しい姿勢で臨んでいる点です。
審査を通すために少しでも、他社借り入れを小さく見せたいと思うのは人情ですが、どうせ信用情報機関のチェックでバレてしまいます。
審査を通す確率を上げるためには、申告内容はできるだけ正直に入力した方が良さそうです。