借金の返済義務はよく分かっているものの、お金がないために借金の返済ができないと、途方に暮れますよね。
返済に行き詰ると、「もう自己破産しかないか・・」と考えてしまう人もいるかもしれません。
ですが債務整理を行う前に、できる対策はいくつもあります。
今回はお金がない中で、借金返済のために出来る対策を紹介します。
目次

この記事の監修者: FP 生川 奈美子
株式会社アスト代表取締役。保有資格はCFP®、1級FP技能士、相続診断士など。「わくわくの明日と共に」をモットーに、不安から安心へ変わる、ライフプラン作成や家計相談、相続相談などのコンサルタントとして活動中。
お金がないので借金の返済ができない!まずやることは?
借金返済に行き詰ることは、珍しいことじゃない
借金が返済できなくて気落ちしている人も多いと思いますが、返済に行き詰るのは、決して珍しいことではありません。
全銀協が銀行カードローン・消費者金融の利用者に対して行ったアンケートによると、約4%の人が返済が困難、約18%の人が返済に遅れることがあると回答してます。
変に落ち込んだりせずに、以下で述べる、やるべきことを淡々と行いましょう。
<外部の関連サイト>:銀行カードローンに関する消費者意識調査 | 全国銀行協会
借金の総額を把握する
借金の返済が難しくなったら、まずは自分が現在抱えている、借金の総額を確認しましょう。
実は多重債務者ほど、借金の正確な額を把握してないことが多いです。
ダイエットによく失敗する人が、自分の正確な体重を知らないのと似ていますね。
具体的には、以下の3点は確実に把握する必要があります。
・借入残高
・月々の返済額
・金利
複数の会社から借入れている場合は、会社ごとに金利や返済額が異なるので、各会社の返済状況を整理しましょう。
収入と支出の状況を把握する
借金の総額を把握するのと同時に、収入と日々の支出を把握することも重要です。
自分が何にお金を使い、どのくらい収入を得ているのか知らなければ、適切な対策を取ることはできません。
収入と日々の支出を把握するのに一番いい方法は、家計簿をつけることです。
家計簿をつけると客観的に収入と日々の支出を確認できるので、オススメです。
日々何気なく使っている支出も、家計簿につけると無駄な部分がわかります。
無駄使いをやめて、返済に充てることもできます。
最近は家計簿アプリも登場してるので、紙に書くのが面倒な人は、アプリを積極的に活用しましょう。
1日に使える金額の上限を計算すれば、自分の返済能力が分かり、より現実的な返済計画が立てられます。
所持しているカードの枚数や、利用状況を把握することも忘れないで下さい。
またお金が本当に残ってないかも、確認しましょう。
特に複数の銀行口座や証券口座を所有している場合、口座に残ったお金があるかも知れません。
不要な口座であれば、解約するのもいいでしょう。
返済計画の相談をする
借金の返済が滞るようであれば、すぐに返済計画の見直しを担当者に相談しましょう。
絶対ではありませんが、返済スケジュールの見直しに応じてもらえる場合があります。
たとえば毎月3万円だった返済を、1万円に減額してくれる等です。
ただし返済計画の見直しで毎月の返済額を減らせば、目先の返済は楽になりますが、借金そのものは減っていません。
毎月の返済額を下げると、それだけ返済期間が伸びて、トータルの返済利息が増えます。
せっかく返済計画を見直したのに、返済負担が増えてしまっては、元も子もありません。
ですので返済計画の見直しは、あくまで「一時しのぎの策」と理解して下さい。
場合によっては、借り換えやおまとめローンを検討すると良いでしょう。
弁護士や司法書士に相談する
どうしても返済が厳しい場合は、最終手段として弁護士や司法書士に相談する方法もあります。
債務整理を利用すべきか、アドバイスが貰えます。
相談の費用を払うのが厳しければ、自治体の無料法律相談や法テラスを利用する方法もあります。
債務整理については、「どうしても借金返済できない時は、債務整理を検討する」で詳しく解説します。
<外部の関連サイト>:法テラス
借金返済のためにお金を用意!やるべきこと・NGなこと
上では、借金返済が困難になった時に、最初にやっておくべきことをご説明しました。
ここからは、借金返済のお金を工面するための具体的な方法と注意点について、解説します。
家族や知人にお金を借りる
家族や知人からの借り入れならば、銀行や貸金業者のような、細かい審査もないでしょう。
お互いに素性が知れていますし、無利息でお金を貸してくれるかもしれません。
ただしその分、借りる側も誠意を見せなければなりません。
お金を借りる際は、必ず借用書を用意しましょう。
お金の問題で人間関係が破綻するなど、もっての外です。
<関連記事>:借用書の書き方を解説!法的に有効な(無効にならない)ためには?
借り換え・おまとめローンを活用する
通常の返済は難しいものの、家族や知人から借りるのは避けたい場合は、借り換え・おまとめローンも検討してみて下さい。
借り換えとは、より金利が低い会社から借入したお金を、高い金利での借入先の返済にあてる手法です。
借り換えをすれば同じ元金で、利息の負担を減らすことができます。
一方でおまとめローンとは、複数の会社から借入れしている場合、借入先を一本化して返済にあてるローンです。
借入先が1つになるので返済管理が楽になり、まとまった額を一社から借り入れるので金利が下がる場合もあります。
ただし借り換え・おまとめローンを利用する際は、追加での借入は絶対にNGです。
その理由については、「NG1:他社からの借入で返済にあてる」で詳しく説明します。
お金を稼ぐ
お金を借りる以外にも、自分でお金を稼ぐ方法もあります。
1度の収入は多くないですが、副業として日払いバイトを行えば、当日~数日でまとまった収入を得られます。
特に治験モニターは労力が少なく、他と比べても高単価なアルバイトです。
ただし事前登録が必要なのと、数日から1週間の拘束が条件なので、普通の会社員の方は難しいかもしれません。
自宅での副業を考えているなら、クラウドソーシングで仕事を受注したり、アンケートモニターをコツコツ行うことで、報酬を得ることもできます。
副業以外では、フリマアプリで不用品を売れば、収入を得るだけでなく不用品の処分もできます。
自分の状況に適した方法を、探してみて下さい。
<関連記事>:即金で5万円・10万円を作るために絶対知っておきたいこと
NG1 : 他社からの借入で返済にあてる
銀行や貸金業者からの催促が厳しいからといって、他社から借りて返済にあてるのは厳禁です。
借り入れは返済のアテがある時に行うべきですが、「返済のための借金」は明らかに返済のアテがない借金です。
しだいに返済に行き詰り、最終的には債務整理に追い込まれます。
こうした返済のための借金は、実は多重債務者に陥るパターンでもあります。
また、借り換えやおまとめローンを利用する場合は、特に気を付けて下さい。
利息の負担や返済管理を軽くするために借り換え・おまとめローンを利用しても、追加で借入れをすれば元も子もありません。
借り換え・おまとめローンを利用した場合は返済だけに専念し、新たな借り入れは絶対にしないでください。
<関連記事>:消費者金融のおまとめローンで失敗しないためには?
NG2 :個人間融資、ヤミ金
個人間融資そのものは、違法ではありません。
しかし素性のハッキリしない相手(暴力団、ヤミ金など)も多くリスクが高いので、関わるべきではありません。
ヤミ金はさらに危険です。
違法な高金利に加え暴力を伴う取り立てで、日常生活が破綻してしまいます。
どんなに生活が苦しくなっても、個人間融資やヤミ金には絶対に手を出さないでください。
<関連記事>:お金がない無職がお金を借りる方法はあるの?
どうしても借金返済できない時は、債務整理を検討する
どうあがいても返済が厳しい場合は、債務整理を検討して下さい。
債務整理というとマイナスのイメージを持つ人もいますが、夜逃げなどより100倍マシです。
事故情報として登録され新規の借り入れが最低5年は出来なくなりますが、少なくとも、人間らしい日常生活を送ることが出来るようになります。
以下では主な債務整理を、紹介します。
過払い金請求
これは債務整理ではありませんが、過去に貸金業者に払い過ぎた利息があれば、返還請求が可能です。
これを「過払い金請求」と言い、請求した貸金業者にもう借金がないなら、請求した金額がそのまま返金されます。
返金された過払い金で、他の借金の返済に回すことも可能です。
請求した貸金業者に借金がある場合は、その借金と請求金額が相殺(そうさい)されます。
対象になるのは、過去に貸金業者に対してグレーゾーン金利(=上限金利・年率29.2%)での借入を行っていた人だけです。
また完済から10年経過すると時効を迎え、過払い金請求の権利を失います。
誰でも対象と言う訳ではありませんが、心当たりがある方は一度確認するとよいでしょう。
自分が対象であるか自信のない人は、キャッシング会社に問い合わせるか、弁護士に相談することをオススメします。
<関連記事>:消費者金融の過払い金請求のデメリットは?
任意整理
任意整理とは、貸主と交渉して、将来利息や過去に発生した遅延損害金をカットしてもらったり、返済条件を変更してもらう手続きのことです。
任意整理では利息や遅延損害金の発生をストップできるので、それ以上の返済負担は生じませんが、元本そのもの返済義務はあります。
任意整理を行うには安定収入があることが条件なので、お金がない人には厳しいかも知れません。
なお任意整理は(裁判所を通さずに)貸金業者と直接交渉を行うので、弁護士か司法書士に手続きを依頼することをオススメします。
個人再生
個人再生とは、借入元本を1/5程度までカットして、残りを3~5年かけて返済する方法です。
マイホームを手放さずに、手続きできることも特徴です。
個人再生の手続きは、裁判所を通じて行います。
個人再生も借金がゼロにはならないので、ある程度の安定収入がある人向けの方法です。
ただし保証人付きの債務がある場合は、その保証人に返済の請求がされる点は、注意して下さい。
<外部の関連サイト>:個人再生とは?元銀行員が分かりやすく解説
自己破産
自己破産は任意整理や個人再生とは違い、借金が全額免除されます。
返済の見込みが全くない人向けの手続きです。
借金が全額カットとなり、収入が全くない人でも取れる方法であるものの、デメリットも大きいです。
家や車など、20万円を超える資産を全部手放す必要があります。
また一部の職業にも就けなくなるなど、日常生活への制限も多くなります。
<関連記事>:カードローンの自己破産で絶対知っておきたい点
以上、お金がないときの、借金返済のための対策と注意点について、解説しました。
借金を返済が立ち行かなくなったら、まずはご自身の借金や収支を把握しましょう。
そこから自身の状況に適した方法で、お金を用意して下さい。
それでも状況が改善しないならば、債務整理を検討しましょう。
ただしどんなに状況が厳しくても、返済のために借金したり、ヤミ金を利用するのは厳禁です。
生活が厳しい時こそ、焦らず計画的な返済を心がけましょう。
- 借金の返済が厳しければ、まず借入総額を把握する。特に借入残高、月々の返済額、金利は借入先ごとに計算する
- お金がないときこそ家計簿を付けるなど、収入と支出の状況を整理する
- 借入先の担当者に返済計画の見直しを相談する方法もあるが、返済総額が膨らむリスクに気を付けること
- 借り換えやおまとめローンを利用する際には、返済総額が増えないよう気を付けること
- どうしても借金の返済が不可能であれば、債務整理を検討する
<監修者のコメント>
借金が膨らんでくると、冷静に考えることができなくなり、借金を返すための借金をしたり、悪徳業者に騙されたりする人も少なくありません。
ひとりで悩まず、早い段階で専門家に相談に行くことをお勧めします。
なぜ借金をすることになったのか?今一度、生活を見つめなおしてください。
借金がなくなったあとも、不意の出費に耐えれるような貯金ができる生活を心がけ、同じ過ちを繰り返さない人生を送ってください。