スマホやパソコンから、商品を簡単に注文できるネット通販は、生活に欠かせない存在です。ネットショッピングの際に、クレジットカードを持っていない人や手元にお金がない人は、「後払い決済」(=商品購入後の支払い)を利用する機会も多いはずです。
ただ後払いサービスは便利な一方で、それなりのリスクもあります。そこで今回は後払いサービスの中身や、どんな点に気を付けるべきかを徹底的に解説します。
目次
ネット通販の後払いサービスとは?
後払いサービスって何?
後払い(決済)サービスとは、ネット通販で商品を購入し、その商品が手元に届いてから代金を支払う決済方法です。クレジットカード決済や代金引換と並ぶ、決済サービスの一つです。
後払い決済の仕組みは、ネット通販ショップと購入者の間に、決済代行会社が介在して行われます。消費者が商品を買うと、決済代行会社がネット通販業者に、代金を立て替えで支払います。
商品の到着後に請求書が送られて来るので、購入者は商品の代金をコンビニなどで払うことで、手続きが完了します。商品の代金を決済代行会社が立て替えてくれるため、ネット通販会社は商品代金が未回収になるリスクがありません。
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後払いサービスは、どの位利用されてる?
後払いサービスは、年々利用者が増加しています。以下のグラフは、後払い決済会社最大手の「ネットプロテクションズ」が提供する、「NP後払い」の年間流通総額推移です。
<出典>:NP後払い| 株式会社ネットプロテクションズ
上から分かるように、NP後払いの年間流通金額は5年連続で増加し、2018年度には2,500億円を突破しました。また同年度の後払い決済サービスの市場規模は約5,720億円であり、NP後払いは全体の約43%で、業界シェア1位であると分かります。
決済代行会社によって、審査が行われる
後払い決済では商品購入後、決済代行会社によって与信審査が行われます。与信審査は氏名や生年月日、住所、連絡先などの基本的な情報を基に、行われると言われています。
ただほとんどの会社では、詳しい与信審査の内容を公表していません。審査によっては、後払いサービスを利用できないケースもあり、その時はクレジットカード決済など他の支払方法を選択する必要があります。
また会社によって、後払いの利用可能金額を設定している場合もあります。与信審査では買い物で使った金額もチェックされ、利用可能金額を上回る注文をすると、後払い決済を利用できません。
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支払い方法は?
商品が到着し、請求書が送られてきたら、支払い手続きに取り掛かりましょう。コンビニや郵便局で支払う場合は、払込取扱票を持って、支払い手続きをします。
銀行振込を選択するケースでは、請求書に記載されている銀行振込先へ、振り込み手続きを行います。また決済代行会社によっては、口座振替やLINE Payに対応している会社もあります。
ネット通販の後払い、メリットは何?
クレジットカードがなくても使える
後払いサービスは、クレジットカード不要で使えます。そのため、クレジットカードを持っていないためにネット通販を利用できなかった、学生や主婦の利用が多いです。
その他にも、クレジットカードを限度額近くまで利用している人や、カード情報を入力したくない人にも、後払い決済はオススメです。下の図によると、平成28年(2016年)はクレジットカード払いに続いて、コンビニ払い(後払い)が多いと分かります。
<出典>:通信利用動向調査報告書│総務省
このようにクレジットカードを使いたくない、または持っていないけど、後払いで決済したい人は多くいます。
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商品を確認してから、お金を振り込める
後払い決済では、代金を支払う前に商品が届きます。そのため代金を支払ったのに、商品が届かないといったトラブルを回避できます。
ごく一部ですが、商品の代金を支払ったのに発送をしない業者もいるので、後払いにすれば、そうしたリスクを負わずに済みます。請求者が届いた後は、会社ごとに設定されている期限の間に、自分のタイミングで支払いを行います。
年齢や収入に関係なく利用可能
クレジットカードの申し込み条件は一般的に、安定した収入があることです。配偶者に収入のある主婦や、年金受給者の高齢者でも申し込みは可能ですが、クレジットカードの保有枚数や消費者金融での借入が多いと、審査に落ちる可能性もあります。
ですが後払いサービスは、安定収入がなくても利用可能な場合が多いです。後払い決済を利用する時に、審査は行われますが、年齢や収入は審査の対象にはなりません。
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ネット通販の後払いのデメリット・リスクとは?
手数料がかかる
後払い決済では利用手数料が、100~350円程度かかります。手数料がかかると、他の決済方法より割高になる可能性もあります。
たとえばZOZOTOWNの「ツケ払い」サービスでは、330円の手数料を請求されます。
<外部の関連サイト>:ツケ払い│ ZOZOTOWN
一部の会社では、購入金額が一定以上の場合、手数料が免除されるケースもありますが、基本的に手数料はかかると思っておきましょう。
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価格や契約内容が不明瞭な場合も
一部の悪質なサイトでは、後払い決済の手軽さに魅力を感じる心理を突いて、価格体系や契約内容を分かりづらくしています。そのため国民生活センターに寄せられた、後払いサービスに関する相談は、年々上昇しています 。
<出典>:定期購入トラブル絡みで「後払い決済」提供事業者に要望 | 通販通信ECMO
特に健康食品や化粧品に関する相談が多く、2019年度の相談件数338件のうち、健康食品は186件、化粧品は123件となっています。国民生活センターへの後払い決済に関する相談の75%が、健康食品や化粧品の定期購入に関するトラブルでした。
たとえば「初回実質無料」の商品を購入すると、一定期間の継続購入を義務付けられたり、2回目以降は価格が高いなどのケースがあります。クレジットカード決済でも同様の被害はありますが、初めてのサイトで購入する際に、「カード情報を入力しないで済むから」と、後払いサービスを選ぶ人が増えているため、相談件数は年々上昇しています。
悪質なサイトを見抜くために、購入前に通販サイトの口コミを確認しておきましょう。
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審査結果によって、利用できないことも
後払い決済では、与信審査があると説明しました。与信審査では利用履歴に問題はないか、住所や電話番号に誤りはないか、などが見られます。
過去に後払いサービスを利用して、支払期限に何度も遅れていると、審査に落ちると言われています。
また住所を入力するため、同じ住所に住んでいる家族が後払い決済を利用していて、未納の代金があると、後払いサービスを利用できない可能性があります。その他にも、決済会社によって利用限度額を設定している場合もあり、1回の買い物で上限まで使ってしまうと、審査に通らないこともあります。
後払いサービスは、購入者が支払いを行うという信用の基に成り立っているので、支払期限に遅れないよう注意しましょう。
使い過ぎに気を付ける
後払いサービスを利用すれば、手元に現金がなくても商品を購入することが可能です。払えきれない金額を使わないよう、気を付けましょう。
実際に大手通販サイトの「ZOZOTOWN」のツケ払いサービスで、代金を払えない若者が増えていると問題になっています。
<外部の関連サイト>:ZOZOTOWN「ツケ払い」滞納する若者たち│BuzzFeed News
「支払いまで2か月あれば、お金を貯められるだろう」と商品を購入したものの、他のことにお金を使ってしまったそうです。後払い決済を利用する際は、請求される代金を生活費とは別に分けておくなどの工夫をしましょう。
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不正利用に気付いたら、すぐ決済会社に確認
後払いサービスは、氏名や生年月日、住所、メールアドレス、電話番号などの基本的な情報を入力するだけで利用が可能です。そのため盗み取った個人情報を基に、本人になりすまして後払い決済をする被害も出ています。
個人情報の扱いには、十分に気を付けましょう。万が一身に覚えのない請求が来たら、必ず決済会社に問い合わせてください。
<関連記事>:クレジットカードが不正利用されたらどうする?
以上、ネット通販の後払いサービスについて解説しました。後払い決済は、クレジットカードなしで利用することができ、便利なサービスとも言えます。
しかし便利だからと商品を買い過ぎて、代金の支払いを滞納してしまうと、後払い決済を利用できなくなる可能性もあるので注意して下さい。
この記事のまとめ |
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