カードローンなどの商品スペックをみていると、極度借入額や利用限度額といった言葉が出てきます。
どちらも融資の上限額を意味するものですが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは極度借入額の中身や、利用限度額との違いを詳しく解説します。
目次
極度借入額とは?分かりやすく解説
極度借入とは?
「極度借入」とは貸主と借主の合意のもと、最大いくらまで融資できるかを設定した上で、その範囲内でならいつでも借入をできるを融資方式のことです。
この融資方式で貸主・借主が結ぶ契約が、「極度借入基本契約」です。
この契約で決定した最大の融資額、つまり契約上の利用上限額のことを、極度借入額または契約極度額と呼びます。
つまり極度借入では、極度額の範囲内であれば何度でも、借主の好きなタイミングで融資を受けられます。
<関連記事>:カードローンとは?わかりやすく解説!
利用限度額とは?
一方で利用限度額とは、利用可能枠や借入限度額とも呼ばれ、現時点で借りられる最大の金額のことを意味します。
つまり利用限度額は、極度借入額と同じ意味合いです。
利用限度額が定められた契約では、極度借入と同じように利用限度額の範囲内で、繰り返しの融資が可能となります。
ただ上で出てきた「借入限度額」は、2種類の意味で使われるケースがあります。
1つ目はカードローン利用者が、融資を受けられる最大の金額という意味です。
カードローンの申し込みをすると、審査によって利用者の借入限度額(利用可能枠)が決まります。
2つ目はカードローン会社が設けている、融資可能な上限額という意味です。
以下の表は、大手消費者金融の(最大)借入限度額です。
消費者金融 | (最大)借入限度額 |
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プロミス | 500万円 |
SMBCモビット | 800万円 |
アコム | 800万円 |
アイフル | 800万円 |
レイクALSA | 500万円 |
上の表のように最大借入限度額と言ったり、カードローン会社の借入限度額と呼ばれる場合には、2つ目の意味の、会社として融資可能な上限額と捉えて良いでしょう。
このように借入限度額や利用限度額という言葉は、文脈によって意味合いが変わるケースがあります。
<関連記事>:カードローンの上限の借入限度額は?
極度借入のメリットは?
では極度借入は、なぜローン商品に採用されているのでしょうか。
以下では、貸主側と借主側双方のメリットを紹介します。
極度借入における貸主側のメリット |
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極度借入における借主側のメリット |
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なお銀行の法人融資でも、極度借入と同じタイプの融資方式が使われる場合があります。
それが「当座貸越」です。詳しくは、「当座貸越との違いは?」で説明します。
また自分の好きなタイミングで借入できる極度借入に対して、借入契約時にまとまった金額を借入する融資方式も存在します。
それが「証書貸付」で、詳しくは「証書貸付とは?カードローンとは何が違うの?」をご覧下さい。
極度借入の仕組みは?どう使われている?
極度借入はカードローンに採用されている
極度借入が採用されている代表的な金融サービスは、カードローンです。
カードローンは、契約額(極度借入額)の範囲内で繰り返し利用できるサービスです。
自分の銀行口座に振り込んだり、専用カードなどを使ってATMで資金を引き出すなど、色んな借入方法があります。
なお極度借入額は、カードローンを提供している金融機関が、審査を通じて利用者に設定するものです。
そのため商品スペックに、「極度額最大〇〇万円」などと記載されていても、必ずその金額が借りられる訳ではありません。
また消費者金融のカードローンは、総量規制(借入できる合計額は年収の1/3まで)の対象となるため、契約できる借入枠は借主の収入によって変わります。
一方の銀行カードローンは総量規制の対象外ですが、2017年以降は審査が厳しくなり、年収の1/3を超える借入枠の設定は難しくなっています。
<関連記事>:総量規制対象外カードローンのオススメは?
当座貸越との違いは?
当座貸越とは、契約時に融資可能な限度額を設定し、その範囲内で借入と返済を行える融資形態のことです。
つまり当座貸越は、極度借入と同じ性質の融資方法です。
上でも書いた通り、当座貸越は法人融資でよく使われます(一方の極度借入は個人融資で使われます)。
当座貸越には、主に次の2種類があります。
1つ目は「一般当座貸越」です。
一般当座貸越とは、当座預金の残高が不足している場合、限度額までの範囲で不足金額が自動的に貸越となる融資形態のことを指します。
たとえば極度額1,000万円で、一般当座貸越の契約をしている企業があるとします。
この企業の当座預金の残高は400万円で、1,000万円の支払手形の決済があった場合、不足分の600万円が自動的に融資されます。
2つ目は「専用当座貸越」です。
専用当座貸越とは融資の限度額を設定して、その範囲内で繰り返し借入と返済を行える融資形態のことを指します。
この2種類のうち、極度借入は専用当座貸越に該当します。
(コラム)コミットメントラインとは?
極度借入と同じ仕組みの融資形態に、「コミットメントライン」というものがあります。
コミットメントラインとは、銀行融資枠とも呼ばれ、銀行と企業があらかじめ設定した融資期間・融資枠の範囲内で、企業の請求に基づき銀行が融資することを約束する契約のことです。
もちろん限度額の範囲であれば、何度でも借入と返済が可能で、このコミットメント契約を結ぶことで、企業は余裕を持った資金繰りが可能となります。
なおコミットメントラインは、実際の融資が行われなくても契約そのものに手数料が掛かります(手数料は銀行の収益となります)。
コミットメントラインは専用当座貸越と同じタイプの融資方法ですが、専用当座貸越は契約時の手数料は発生しないため、その点の違いはあります。
また銀行によっては、コミットメントラインの設定に厳しい条件を設けている場合もあります。
以下は、みずほ銀行の例です。
みずほ銀行のコミットメントラインの条件 |
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<出典>:コミットメントラインの特徴│みずほ銀行
こうして見ると、コミットメントラインは専用当座貸越に較べて、借り手企業にとって少し不利な融資方法と言えます。
ただしコミットメイントラインの融資枠は(当座貸越に較べて)高額になるケースもあり、その場合は銀行もそれなりのリスクを背負うことになります。
カードローンで極度借入額を増やすには?
極度借入を採用しているカードローンは、自由に借入と返済ができる利便性の高いサービスですが、使っているうちに「もう少し多く借りたい」と思い始める方もいるでしょう。
以下では、極度借入額を増やす方法について紹介します。
増枠審査に申し込む
極度借入額の増額は利用枠の上限を引き上げることになるため、増額審査への申し込みが必要です。
増枠の申し込みは、電話やインターネット、郵送や店頭窓口などでできますが、一番手っ取り早いのが電話からの申し込みです。
増額審査では、カードローンの利用実績や返済実績、現在の収入状況や増額の理由などが確認されます。
また収入証明書類の提出が求められる場合もあるので、あらかじめ下記のような書類の最新のものを準備しておくと良いでしょう。
増額審査で必要な書類 |
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利用実績が良く、返済能力の高さを認められた場合には、取引をしている金融機関から増額の提案を受けるケースもあります。
ただし増枠の提案をされた場合でも、増枠審査に通過するとは限らないので注意してください。
<関連記事>:消費者金融の審査担当者に聞いた!審査と取り立ての裏側
返済遅れをしない
増額審査では、返済遅延の有無などといった返済実績が重要視されるため、あなたの印象を良くしておく必要があります。
具体的には、毎回滞りなく返済していれば審査に通る可能性が高くなります。
ただし1~2日程度の遅延であっても、返済遅れが何度も続いてしまうと、金融機関からの信用を失ってしまうケースがあります。
増額を検討している方は、返済遅れに細心の注意を払いましょう。
他社の借入を減らす
上で説明した通り、消費者金融のカードローンは総量規制の対象となり、年収の1/3までしか借入できません。
銀行カードローンは総量規制の対象外ですが、先ほど説明した通り、自主的に年収1/3までの上限を設けている銀行が増えています。
そのため増額できる金額は基本的に、最大で年収の1/3までです。
他社からの借入があると、増額できる枠はさらに小さくなります。
年収に対する借入枠に余力があれば一番ですが、ない場合は収入を増やすか、他社の借入を減らすしかありません。
増額審査を受ける前に、できるだけ他社の借金を清算しておきましょう。
なお増額審査の際には、必ず個人信用情報機関に登録されている情報が確認されるため、他社の借入を隠すことはできません。
<関連記事>:カードローンを利用すると信用情報にマイナス?
以上、極度借入額について解説しました。
極度借入額は、利用限度額と同じ意味合いで、カードローンなどの利用者それぞれに設けられた、最大利用可能借入枠のことを指します。
また極度借入額を増やすには、返済遅れをすることなくカードローンを利用していることが大切です。
この記事のまとめ |
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