「クレヒス」とはクレジットカードヒストリーの略語で、国内の金融機関が審査を行う際に必ず参照している情報のことです。
「クレジットカードやローンの審査が通らない…」時には、このクレヒスが大きく影響している可能性があります。
そこで今回は、クレヒスの基本を詳しく解説します。
また自分のクレヒスの確認方法や、「悪いクレヒス」の回復方法についても紹介していきます。
目次
クレヒスとは?(クレジットヒストリー)分かりやすく解説
クレヒスって何?
クレヒスとは、クレジットカードやローンの利用履歴のことです。
ここで言うローンとは、カードローンだけでなく住宅ローンや、スマホの分割購入なども含まれます(こうした取引は「与信取引」と呼ばれます)。
ただ文脈によって、クレヒスの使われ方(意味合い)は異なります。
「信用情報」(契約内容や取引内容の全般)という広い意味で使わる場合もあれば、「返済履歴」(入金状況)という狭い意味合いで使われる場合もあります。
クレヒスとして具体的に、どのような情報が登録されているかは、「クレヒスに記録される情報とは?」で説明します。
またクレヒスは信用情報機関に登録され、特に延滞や破産などの事故情報は、信用情報機関を通じてクレジットカード会社や消費者金融、銀行などの金融機関に共有されます。
金融事故情報が登録されると「悪いクレヒス」となり、反対に「良いクレヒス」の場合は審査に通りやすくなります。
「良いクレヒス」と「悪いクレヒス」とは、それぞれどのようなクレヒスなのか、次の項で詳しく確認していきましょう。
<関連記事>:カードローンの審査の流れと審査基準
良いクレヒス、悪いクレヒスとは?
良いクレヒスとは、延滞や金融事故の記録が一切無く、毎月の返済を滞りなく支払っている信用情報のことです。
利用金額の大小にかかわらず、クレジットカードやローンなどで借りている金額を、決められた期日に毎月継続して返済していれば、良いクレヒスが築かれていきます。
ちなみに「口座への入金忘れで、クレジットカードの利用料金が引き落としされなかった…」というミスを繰り返していると、(それが数日の返済遅れでも)悪いクレヒスが積み上がるので注意してください。
良いクレヒスを作りたければ返済遅れは、絶対にNGです。
カード利用分の入金は、支払い期日までに必ず済ませましょう。
一方で悪いクレヒスとは、主に次のような事実が記録された信用情報のことです。
悪いクレヒスとなる例 |
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悪いクレヒスがある場合、「返済能力が低い」と判断される可能性が高く、クレジットカードやローンの審査に通りにくくなります。
なお「スーパーホワイト」とは、これまでにクレジットカードやローンなどによる借入経験が無く、クレヒスに何も登録されていない真っ白な状態のことを指します。
このクレヒスが真っ白な状態というのは、実は金融事故を起こして一定期間が過ぎた後、クレヒスに登録されていた事故記録がすべて抹消された状態と、見た目上は同じなのです。
そのためクレヒスを見ただけでは、これまでに借入経験が無いだけなのか、過去の金融事故情報が抹消された状態なのかを判断できず、審査の際には不利となる可能性が高いです。
悪いクレヒスは何が問題なの?
クレジットカードやローンの審査の際、金融機関は申込者のクレヒスを必ず確認します。
そのため当然ですが、クレヒスが悪いほど審査に不利となります。
たとえ数日程度の返済遅れでも繰り返していると、「だらしない利用者」という印象を金融機関の担当者に与え、新規の審査には不利になります。
特に事故情報の記録があると、審査には通りません。
事故情報の記録があるという方は、履歴が消えるまで新規の申し込みは控えましょう。
<関連記事>:金融事故情報(ブラックリスト)とは?
自分のクレヒス(クレジットヒストリー)を知りたい!確認する方法は?
クレヒスは信用情報機関に登録されている
すでに触れた通り、クレヒスはCIC・JICC・JBA(全国銀行個人信用情報センター)といった信用情報機関に登録されています。
まずは各信用情報機関についての、基礎知識を深めていきましょう。
<株式会社シー・アイ・シー(CIC)>
CICとはクレジット事業を行う、クレジットカード会社・リース会社・消費者金融・携帯電話会社などの企業が主な会員となっている信用情報機関です。
なおCICは、割賦販売法と貸金業法という2つの法律に基づく「指定信用情報機関」として唯一国から指定された信用情報機関です。
クレジットカード会社などの、割賦販売法が適用されるすべての企業が加盟しています。
<日本信用情報機構(JICC)>
CICと同じく、消費者金融やクレジットカード会社などが、主な会員となっている信用情報機関です。
以下は、加盟している金融機関の例です。
JICCに加盟している金融機関の例 |
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なおJICCは、貸金業法に基づく「指定信用情報機関」として指定を受けている信用情報機関です。
消費者金融を筆頭に、貸付を行う貸金業者が加盟し、貸金業法が適用される借入の情報が登録されています。
<全国銀行個人信用情報センター(JBA)>
一般社団法人全国銀行協会(全銀協)が運営している信用情報機関で、主に次のような企業が加盟しています。
以下は、加盟している金融機関の例です。
JBAに加盟している金融機関の例 |
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なお住宅ローンやマイカーローンなどといった銀行からの借入情報は、この全国銀行個人信用情報センターに登録されます。
またCIC・JICC・JBAは、「CRIN(クリン・Credit Information Network)」と呼ばれる信用情報交流ネットワークで結ばれており、金融事故などの情報は3つの信用情報機関の間で常に共有されています。
つまりどこか1つの信用情報機関に、延滞や自己破産などの悪いクレヒスが記録されると、すべての機関に必ず掲示されてしまうので注意しましょう。
<関連記事>:キャッシングの借金履歴(信用情報)はいつまで残る?
クレヒスに記録される情報とは?
ここからはクレヒスに記録される情報について、CICが保有する情報を例に詳しく解説します。
上で説明したとおり、クレヒスは2つの意味合いで使われます。
クレヒスが信用情報を指す場合、登録される情報は以下の3つに大きく分けられます。
登録情報の種類 | 主な登録内容 | 保有期間 |
---|---|---|
申込情報 | ・本人識別情報 (氏名、生年月日、電話番号等) ・申込情報 (商品名、契約予定額、支払予定回数等) |
照会日より6ヶ月間 |
クレジット情報 | ・本人識別情報 ・契約情報 (契約の種類、支払回数、契約額等) ・支払情報 (入金額、入金履歴、延滞や破産の有無等) など |
契約期間中及び契約終了後5年以内 |
利用記録 | ・本人識別情報 ・利用情報 (利用日、利用目的、利用会社名等) |
利用日より6ヶ月間 |
このようにクレヒスが信用情報を意味する場合、本人識別情報から申込情報、利用情報などの情報が該当します。
一方でクレヒスが返済履歴を指す場合、以下のような入金状況のことを意味します。
表示記号 | 内容 |
---|---|
$ | 請求通りに入金があった |
P | 請求額の一部が入金された |
R | 契約者以外から入金があった |
A | 契約者都合で期日に入金がなかった(未入金) |
B | 契約者都合とは無関係の理由で入金がなかった |
C | 入金がなく、理由も不明 |
– | 請求もなく入金もない(クレジットの利用がない) |
空欄 | クレジット会社から情報の更新がなかった(クレジットの利用がない) |
<出典>:信用情報開示報告書の見方│CIC
たとえばクレヒスの入金状況の欄に、Aが4回続けば、4ヶ月連続で返済遅れがあったことが分かります。
また支払い状況欄の返済状況に、「異動」と表示されている場合には、61日以上または3ヶ月以上の延滞が発生していることを意味します。
この異動情報は、延滞などが解消した後も一定期間残り続けてしまうので注意してください。
なおデビットカードやプリペイドカード、電子マネーによる取引は、クレヒスに記録されません。
クレヒスの確認方法は?
クレヒスは、加盟している金融機関でなくても照会は可能です。
各信用情報機関に情報開示請求をすれば、誰でも簡単に自分のクレヒスを確認できます。
「クレジットカードやローンの審査にどうしても通らない…」場合には、一度自分のクレヒスを問い合わせてみるとよいでしょう。
各信用情報機関の情報開示方法・手数料は、次の表を参照してください。
信用情報機関 | 情報開示方法 | 手数料 |
---|---|---|
CIC | インターネット(パソコン・スマホ) | 1,000円 |
郵送 | 1,000円 | |
窓口 | 500円 | |
JICC | スマホアプリ | 1,000円 |
郵送 | 1,000円 | |
窓口 | 500円 | |
全国銀行個人信用情報センター | 郵送 | 1,000円 |
信用情報機関に情報を開示した結果、入金状況にAマークが続いていたと発覚すれば、過去に返済遅れがあったと気付けます。
<関連記事>:カードローンを利用すると信用情報にマイナス?
クレヒス(クレジットヒストリー)を回復させる方法、必要な期間は?
先ほど説明した通り、一口に悪いクレヒスといっても種類があります。
クレヒスの情報によっても、保管される期間も違います。
ここでは状況ごとに、クレヒスを回復させる方法や期間を解説します。
クレヒスが記録される期間は?
そもそもクレヒスは、どのくらいの期間登録されているのでしょうか?
記録される期間は、登録情報の種類によって異なります。
上でも少し触れましたが、申込情報は申し込みから6ヶ月間、金融機関による信用情報の照会(先ほどの表でいう利用記録)も6か月間、記録されます。
事故情報は種類によって差があり、延滞は解消から5年、債務整理は契約完了から5年、自己破産は発生から10年間(JBA)記録が残ります。
クレジットカードやローンの契約内容の記録期間は、契約解消から5年以内とされています。
ただし、上で説明した返済履歴(入金情報)の記録期間は、24か月とされています。
事故情報を回復させるには、待つしかない
事故情報は延滞の場合は解消から5年、債務整理は契約完了から5年、自己破産であれば発生から10年間(ただしCIC・JICCは5年)記録が残ると説明しました。
この事故情報を消す(=回復させる)方法は、5年または10年の間、待つしかありません。
上でも説明したとおり、クレヒスの登録期間を短縮する期間はないのです。
事故情報を起こしてしまうと、信用情報機関に掲載期間中の5~10年間は、ローンを組んだりクレジットカードを作れなくなります。
<関連記事>:カードローンを延滞・滞納すると、どんなペナルティがある?
スーパーホワイトを解消するには
先ほど見た通り、スーパーホワイトもある種の悪いクレヒスです。
ただし事故情報とは違い、スーパーホワイトは短期間で解消する手段があります。
クレジットカードの支払いや、ローン契約を一度でもすれば、スーパーホワイトではなくなります。
それ以外にもスマホを分割購入すれば、割賦販売契約として個人信用情報機関に取引情報が登録されます。
毎月遅延することなく支払いを続けていけば、クレヒスの入金状況に「$マーク」が記録され、良いクレヒスを積み上げることができます。
なお携帯電話やスマホ本体を分割払いで購入しても、分割手数料はかかりません。
一括で購入した場合と同じ料金なので、安心して利用できます。
ただスマホの分割払いの支払いが遅れると延滞扱いとなるので、61日以上の返済遅れは絶対に避けましょう。
毎月きちんと返済して、クレヒス(入金情報)を回復させる
クレジットカードなどを毎月一定額利用し、遅延せずに支払い続けていくことが返済履歴(入金情報)を回復させる唯一の方法です。
残念ながら、悪いクレヒス(入金情報)を一気に回復させる方法はありません。
毎月安定した利用と支払いを繰り返していくことで、地道に良いクレヒスを積み上げていきましょう。
返済遅れとならないために、利用中のクレカ・ローンについては、それぞれの返済日・返済金額を毎月確認しましょう。
返済忘れをしないためにも可能なら口座振替を利用し、指定口座には必要よりも多めに入金しておけば、返済漏れを防ぐことにもつながります。
<関連記事>:カードローン返済の上手なコツは?
以上、クレヒスの基礎知識と確認方法、および悪いクレヒスの回復方法について解説しました。
クレヒスは、個人の信用と返済能力を評価するために、審査上の判断材料となるものです。
自分のクレヒスを確認したい場合には、各信用情報機関に情報開示請求をしてみましょう。
また悪いクレヒスは、審査の際に不利に働く可能性が高まります。
毎月の安定した利用と返済を繰り返して、良いクレヒスを積み上げていきましょう。
この記事のまとめ |
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