クレジットカードはネットで買い物をしたり、ポイントを溜めるのに便利なツールですが、それなりにリスクもあります。その一つがクレジットカードを紛失した場合で、適切に処理をしないと、他人が勝手に使ったクレカの支払いを肩代わりさせられる恐れがあります。
またクレジットカードをつい使い過ぎて、後で支払いが出来なくなるリスクもあります。今回はクレジットカードのリスクである、紛失や返済できない場合の対処法について解説します。
目次
クレジットカードを紛失してしまった!取るべき対応は?
1. カード会社に連絡してカードを利用停止
クレジットカードの紛失に気づいたら、一刻も早くカード会社に連絡をしましょう。ここで言うカード会社とは、「セゾン」(セゾンカード)や「楽天」(楽天カード)のような、クレジットカードの発行会社を指します。
「VISA」や「Mastercard」のような国際ブランドのことではないので、注意してください。
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どのカード会社にも「紛失・盗難窓口」が設置されており、24時間・年中無休で電話対応してくれます。カード会社によってはインターネット窓口もありますが、紛失対応は急を要するので電話連絡をオススメします。
連絡を入れるとカードを利用停止にしてくれるので、それ以降の不正利用の心配はなくなります。なお紛失したクレジットカードの番号を、覚えていない人もいるかと思います。
ですがカード会社に連絡すれば、生年月日・住所・氏名・電話番号だけで本人確認できるので、問題ありません。
2. 警察に紛失届を提出
カードを利用停止すると、それ以降の不正利用の心配はなくなります。ですが利用停止の前に、すでに不正利用の被害に遭っている可能性もあります。
クレジットカードにはそのような被害に対する補償がついていますが、補償を受けるには警察への届け出が不可欠です。カード会社に連絡したあとは、すぐに警察に紛失届(盗難の場合は盗難届)を提出してください。
この手続きはネットからも行えますが、一刻を争うため近くの交番や警察署に出向きましょう。
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3. 届出番号をカード会社に伝える
警察に紛失届を提出し、受理されると受付番号が発行されるので、それをカード会社に伝えます。ここまで行えば、紛失後の対応はひとまず完了です。
新しいカードが必要な人は、追加書類などを記入した後に再発行してもらえます。無料で再発行できるカード会社もありますが、手数料として1,000円程度かかる場合が多いです。
再発行されたクレジットカードは、従来のカードと会員番号が異なります。ですから公共料金や携帯電話料金の支払いに設定していた場合は、変更が必要なので注意してください。
海外でクレジットカードを紛失した時の対応は?
海外で紛失した場合でも、1.カード会社に連絡→2.警察に連絡→3.カード会社にもう一度連絡、という大まかな流れは変わりません。日本での紛失対応と少し違うのは、「2.警察に連絡」と「3.カード会社にもう一度連絡」のステップです。
海外でクレジットカードを紛失した場合は、現地警察に連絡して「盗難証明書(ポリスレポート)」を作成してもらう必要があります。盗難証明書は即日で発行してもらえる場合もあれば、後日メールで送られてくる場合もあります。
いずれの場合も帰国後にカード会社へ出向いた際に、盗難証明書を提出する必要があるので、海外滞在中に必ず現地警察への連絡を済ませておきましょう。
なお海外滞在中にクレジットカードを紛失した場合、希望に応じて「緊急再発行カード」をカード会社に申請できます。「緊急再発行カード」は、海外滞在中に限って緊急で代用できるカードなので、紛失後も滞在し続けることができます。
紛失したはずのカードが後から見つかった場合は?
カード会社や警察に連絡した後になって、紛失したはずのクレジットカードが見つかる場合があるかもしれません。後で見つけたとしても、カードをハサミで細かく切って速やかに処分してください。
カード会社に連絡を入れた時点で、紛失したと伝えたカードは利用停止になっているからです。必要なカードだった場合は、上で紹介したような手順に従って、カードの再発行を申し込みましょう。
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紛失中にクレジットカードが悪用されていたら?
全てのカードには盗難保険がついている
クレジットカードの紛失に気づいてカードを利用停止にした場合でも、それより前に不正利用の被害に遭っているケースがあります。ですがクレジットカードには、盗難保険が付いています。
上で見たように警察に紛失届を提出していれば、盗難保険が適用されて不正利用の被害は原則補償されます。ただし利用者に非があると判断されれば、補償の対象外となります。
以下では、補償の例外ケースをいくつか紹介します。
補償の例外ケース1 :被害が届出から60日より前の場合
盗難保険の適用条件の1つに「被害がカード会社への届け出から過去60日以内のものである」とあります。これは裏を返せば、紛失の申し出をカード会社が受理した日から61日以上前の不正利用の被害については、補償の対象外という意味になります。
「補償の期間を過ぎていた」ということがないように、紛失したと気づいた時点で、すぐにカード会社に連絡を入れましょう。もちろん警察への紛失届も忘れないでください。
補償の例外ケース2: カード裏面に署名がない場合
カード裏面の署名がない場合も、補償対象外になります。署名がないだけで補償を受けれないのは厳しすぎると思うかもしれませんが、クレジットカードというのはある種の借金です。
補償の例外ケース3:不正利用の際に暗証番号が入力された場合
クレジットカード取引において、暗証番号が入力された上での不正利用は、(システム障害でなければ)本来起こりえないはずです。もし起きたとしたら、カード所有者が暗証番号を他人に知られた、というケースが考えられます。
誕生日のような推測しやすい番号を設定していたり、暗証番号をメモした紙を財布に入れたことが原因で、暗証番号が第三者に知られるケースはあります。このように暗証番号が入力された上でのカードの不正利用は、カード所有者に「重大な過失」があったと判断され、一切補償がありません。
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補償の例外ケース4: カードを本人以外に貸した場合
家族や恋人など自分以外の誰かにカードを貸したせいで紛失した場合も、盗難保険は適用されません。そもそも所有者以外の人間にカードを貸す行為が、カード会社の規約違反だからです。
家族カードの場合も同様です。家族カードは一般的なカードと同じように、名義人が指定されています。
「妻の家族カードを夫に貸したら紛失してしまった」というケースでも、規約違反なので補償を受けることはできません。また「子供がカードを勝手に使って紛失してしまった」というように、意図的に他人に貸したわけではない場合でも、「本人以外に貸した」と判断されます。
所有者の管理能力に問題があり、「重大な過失」があったとみなされるので補償対象外と見なされます。
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クレジットカードの紛失に備えて対策できることは?
カード会社名・連絡先を控えておく
特にカードを複数持っている人によくあるのが、「カードをなくした気がするけど、何のカードだったか忘れてしまった」というパターンです。カード会社名を覚えていなければ、連絡しようにもできません。
複数のカードを持っている人は、持っているカードをメモしておくなどして、いつでも確認できる状態にしておきましょう。
さらにカード会社の連絡先を登録しておけば、カードを紛失した際に迅速な対応が取れます。財布とスマートフォンを一緒になくしてしまうケースも多いので、手帳などにも控えておくと万全です。
所持するカードは必要最低限に
カードを不必要に何枚も持ち歩くことは、非常に危険です。紛失した際に不正利用被害に遭う確率も高まりますし、カード会社や警察への手続きの手間もかかります。
ほとんど使っていないカードは、思い切って解約してしまうのがオススメです。
カードの署名欄には必ずサインをする
カードの裏面に署名をすることは、カードの利用規約であり、補償を受けるための必須条件です。新たにカードをつくった際や、再発行した際は、忘れないうちに署名を済ませましょう。
法人カードの場合でも、名義人による署名が必要なので注意してください。書式は自由なので、自分の好きなように署名して結構です。
こまめに利用明細を確認する
上でも見たように、盗難保険が適用されるのは、届け出から60日以内の被害に限られます。最近は利用明細を郵送ではなくウェブ設定にできるので、全く確認しない人も多いかもしれません。
「はるか昔の不正利用だから補償が受けられなかった」いうことがないように、利用明細を小まめにチェックする癖をつけましょう。身に覚えのない利用履歴を見つけたら、すぐにカード会社に確認の連絡をしてください。
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クレジットカードの返済ができない!どんなペナルティがある?
遅延損害金が発生する
クレジットカードの返済に1日でも遅れた時点で、遅延損害金が発生します。引き落とし日に口座の残高が不足していて、残高不足が解消されないでいると、自宅に案内が送られてきます。
再引き落とし日を指示されるので、それまでに支払えば大きなトラブルには発展しません。ただし支払いが済むまでは、カードの利用が停止する場合があるので注意してください。
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事故情報として登録され、強制解約される
返済遅れがさらに続くと、督促の電話がかかってきます。それでも返済をしない場合は、延滞扱いとなり事故情報として登録されます。
延滞となる日数は明確に決まっていませんが(会社によって対応が違いますが)、一般に61日または3か月以上が目安だとされています。信用情報機関に事故情報が登録されると、新たなクレジットカードの作成や借入が最低5年間できなくなります。
事故情報への登録と同じタイミングで、カードも強制解約されます。強制解約は利用停止と違って、たとえ返済遅れが解消されても再び使えるようにはなりません。
一括請求を迫られ、それでも返済できないと強制執行
クレジットカードが強制解約となると、カード会社から一括請求の督促状が送られてきます。リボ払いや分割払いを選択している場合でも、一括で利用金額の全額返済を迫られます。
ですがここまで滞納している人であれば、一括請求に応じることができないケースがほとんどです。その場合はカード利用者からの異議申立てがなければ、民事訴訟に移ります。
仮にこの督促状を利用者が無視した場合は、強制執行となって給与の一部(1/4)が差し押さられてしまいます。
延滞すると他のクレジットカードへの影響は?
あるカードの延滞によって事故情報が登録された場合、手持ちの他のカードにどんな影響があるのでしょうか?延滞しても、別のクレジットカードもすぐに利用停止になる訳ではありません。
しばらくの間は利用できますが、事故情報が登録されていることが発覚した時点で、他社のクレジットカードも利用できなくなります。例えばクレジットカードの更新では、必ず信用情報がチェックされるため、他の会社に事故情報が知られます。
カード利用中の中間審査である「途上与信」が行われた際も、事故情報がバレてしまいます。途上与信はカード会社が任意で行う審査なので、突然カード利用がストップする可能性もあります。
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クレジットカードの返済ができない場合の対処法は?
まずはクレジットカード会社に連絡を
引き落とし日に残高不足になると思った時点で、すぐにクレジットカード会社に連絡をしましょう。支払えないことを正直に話せば、引き落とし期限を延ばしてくれたり、返済スケジュールを見直してくれる場合があります。
その際は「いつまでだったら返済できる」というように、具体的な返済プランを伝えましょう。返済意思をアピールすることは、カード会社との信用関係を維持する上で大切なことです。
使ってない口座にお金が残っていないか確認する
返済スケジュールを見直したら、次にすべきはお金を用意することです。複数の口座を持っている人は、普段使っていない口座にもお金が残っていないか確認しましょう。
解約したつもりが、まだお金が残ったままだったというケースは意外とあるものです。手元にお金がない場合は、身の回りの不用品を処分しましょう。
メルカリなどのフリマアプリで売却すれば、まとまった金額になる場合もあります。また即日払いのバイトを数日やれば、数万程度のお金は用意できるかもしれません。
返済遅れを解消するためにも、出来る限りの対策を取りましょう。
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家族や友人にお金を借りる
どうしてもお金を用意できなければ、家族や友人に相談してみましょう。もしお金を貸してくれる人が見つかったら、借用書を作成するのがオススメです。
書面ではっきりと残るので、後でトラブルになりにくいです。また借用書を作ることが、相手に対する誠意にもなります。
親しい間柄だからといって面倒くさがらず、借用書を用意しましょう。
<関連記事>:家族や友人からお金を借りる時に、角の立たない理由や言い訳は?
カードローンを利用する
不足金額が10万円ほどですぐに用意するのが難しく、といって家族・友人からお金を借りるのが難しい場合は、カードローンを利用するのも手です。大手の消費者金融の中には、初回限定で1か月の無利息サービスを提供している会社もあり、利息なしで1か月借入ができます。
消費者金融なら審査スピードも速いため、引き落とし日が数日後に迫っている場合でも対応できます。ただし無利息だからといって無理な借入をすると、返済が苦しくなるので気をつけてください。
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それでもダメなら債務整理を
上で紹介したような方法でも返済できない場合は、債務整理を検討しましょう。弁護士に相談をし、「任意整理」「個人再生」「自己破産」の中から、自分の借入状況に合った手続きを選択しましょう。
返済負担を大幅に軽減できますが、債務整理を行った場合は事故情報が登録されます。今後5~10年間、クレジットカードの新規発行やローン契約などができなくなるので注意してください。
クレジットカードの返済ができない場合、気を付けたいこと
クレジットカードの現金化は絶対にNG
よくお金を工面する方法として、クレジットカードの現金化が紹介されることが多いです。法律で禁止されているわけではないですが、カード会社の規約上は明確に禁じられています。
現金化を行ったことがカード会社にバレると、強制解約になり一括返済を求めらる恐れがあります。犯罪などのトラブルに巻き込まれることも多いので、絶対に手を出してはいけません。
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リボ払いに変更した場合は手数料に注意
一括払いが厳しそうな時はカード会社に連絡をすれば、リボ払いに変更してもらえる場合があります。リボ払いにすることで毎月の引き落とし額を減らせるので、月々の返済負担は軽減します。
ただしその分だけ返済が長期化するので、手数料(利息)が高くついてしまいます。リボ払いにすることで結果的に返済総額は増えてしまうので、目先の延滞を回避できる場合にだけ利用するのがオススメです。
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カードローンは借り過ぎに注意
先ほど不足金が少額の場合は、カードローン利用が役に立つ場合があると述べました。借入枠の範囲内ならいくらでも借入できるので非常に便利ですが、借り過ぎには注意したいところです。
不足金が少額ではなく数十万円程度ある時は、カードローンの利用は避けた方が良いです。返済負担が大きいので、最悪の場合は多重債務に陥る可能性があります。
<関連記事>:借金返済ができない場合、どこに相談すれば良い?
延滞リスクを減らすためにできることは?
そもそもクレジットカードを使い過ぎさえしなければ、延滞リスクを減らすことができます。クレジットカードの使い過ぎの原因の一つが、利用限度額が高く設定されていることです。
限度額を減らせば、衝動的な買い物も減らすことができて経済的です。万が一不正利用に遭っても、被害を最小限に抑えられます。
また手持ちのカードがたくさんある場合は、できるだけ枚数を減らしましょう。1枚だけ残して他を解約すれば、支払いの管理も格段にしやすくなるはずです。
ここまで、クレジットカードを紛失した場合や返済できない場合の対処法について見てきました。どちらにも共通して言えるのは、放置していたら後で大変な目に会う点です。
紛失したとか返済できないことが分かった時点で、すぐにカード会社に連絡すべきです。特に紛失した場合は、利用停止前の他人が利用した分は、警察に届け出ないとカード会社は補てんしてくれません。
気が付いたら、すぐに動いてください。
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