教育ローンっていう名前を聞いたことがあっても、実際にどんな仕組みなのか理解している人は少ないでしょう。
特に奨学金との違いが分からない人は、多いはずです。
今回は教育ローンの仕組みや上手な活用方法、低金利の教育ローンについて紹介します。
進学予定のお子さんを持つ、親御さんは必見です。

この記事の監修者: FP 生川 奈美子
株式会社アスト代表取締役。保有資格はCFP®、1級FP技能士、相続診断士など。「わくわくの明日と共に」をモットーに、不安から安心へ変わる、ライフプラン作成や家計相談、相続相談などのコンサルタントとして活動中。
教育ローンとは?キホンの仕組みを解説
教育ローンとは教育資金のために親が借りるローン
教育ローンとは、簡単に言うと、親が子供の進学のために借りる、教育資金のためのローンのことです。
つまり、教育ローンの借主は親になります。
カードローンやフリーローンに比べて、低金利で借りられるのが教育ローンの魅力です。
また教育資金とは、入学料・授業料だけでなく、定期代やパソコン購入費も含まれます。
つまり進学・教育に関係することなら、幅広に教育ローンを利用できることになります。
<関連記事>:カードローンとは?元銀行員がわかりやすく解説!
教育ローンは国と民間の2種類ある
教育ローンは、国と民間の2種類のタイプに分けることができます。
国の教育ローンは、貸出先が日本政策金融公庫になります。
一方の民間の教育ローンは、銀行や信販会社など民間の金融機関が貸出先になります。
後で詳しく見ますが、国の教育ローンの方がより低金利での借入が可能です。
どこで申し込みできるの?
国の教育ローンで借りる場合は、日本政策金融公庫のホームページから申し込むことができます。
また日本政策金融公庫の支店で、直接申し込むことも可能です。
銀行の教育ローンは、銀行に直接申し込みをします。
信販会社の教育ローンは、進学先の学校を経由して申し込みをします。
<関連記事>:信販会社とは?分かりやすく解説
奨学金とは何が違うの?
教育ローンが親の借り入れであるのに対し、奨学金は学生本人による借入です。
詳しい違いは後ほど(「国と民間の教育ローン、奨学金を比較してみた」で)見ていきますが、奨学金は、さらに低金利での借り入れが可能です。
ただし奨学生として採用されるのは入学後になるため、奨学金の申し込みをしても、実際に借りられるのは入学後になります。
ちなみに学生ローンも奨学金と同じく、学生本人の借入になります。
<関連記事>:奨学金の借金が返済できない場合、どうすれば良い?
教育ローンの仕組み、メリットは?
1.場合によっては低利の借入が可能
メリットの一つ目は、低金利での借入も可能という点です。
国の教育ローンの場合、固定で1.66パーセントでの借入が可能です。
この金利は住宅ローンにも匹敵する低さです
銀行の教育ローンはここまで低くないですが、年率4%未満(変動)で、フリーローンに較べても低金利です。
<関連記事>:おすすめのフリーローンを紹介します!
2.審査スピードが早く、入学前の借り入れが可能
審査スピードが早いのも教育ローンの利点です。
日本政策金融公庫の教育ローンでも、申し込みから20日程度での融資が可能です。
民間の教育ローンなら、10日程度で融資も可能です。
とはいえ入学前の2月から3月には申し込みが殺到するので、この時期だけは、もう少し時間がかかります。
また一年中、申し込みが可能です。
<関連記事>:即日融資ランキングを解説!どのカードローンが選べばよい?
3.成績を問われない
奨学金は子供(学生)の成績によって融資を受けられない場合がありますが、教育ローンは成績を見られません。
教育ローンの方が、利用のためのハードルが低いのも魅力です。
教育ローンの仕組み、デメリットは?
1.借入先を間違えると高金利となる
教育ローンと言っても、借入先を間違えると金利が高くなります。
特に学校経由で申し込む、信販会社の教育ローンは3%から10%程度の金利になり、あまりお得とは言えません。
しかも学校経由の教育ローンは、事前に金利を提示してくれない場合もあります。
教育ローンの申し込みは国の教育ローン、最低でも銀行を使いましょう。
2.借入額は(1人あたり)350万円まで
借入金額が、最大でも1人あたり350万円に限定されているのも、教育ローンのデメリットです。
ただしこれは国の教育ローンの金額でして、民間の教育ローンなら上限を500万円にしている金融機関が多いです。
一方の奨学金なら、もう少し高額の借入も可能です。
3.返済は借り入れの翌月から始まる
教育ローンは他のローンに比べて低金利なため、返済負担が小さいのが魅力ではあります。
ですが、借入から翌月にはもう返済が発生します(在学中は利息のみの返済を選択できる場合もあります)。
一方で奨学金は卒業まで返済が始まらず、返済負担という点では教育ローンの方が見劣りします。
国と民間の教育ローン、奨学金を比較してみた
ここまで、国と民間の教育ローン、奨学金を比較してきました。
これらをまとめたのが、以下の表になります。
国の教育ローン(日本政策金融公庫) | 民間の教育ローン | 奨学金(日本学生支援機構) | |
---|---|---|---|
借主 | 保護者 | 保護者 | 学生本人 |
年収制限 |
■子供1人の世帯:世帯年収790万円まで ■子供2人の世帯:世帯年収890万円まで ※子供の人数によって年収制限が異なる |
年収200万円以上 ※融資元により異なる |
<子供1人の世帯> 第一種は年収657万円以下まで 第二種は年収1009万円以下まで <子供2人の世帯> 第一種は年収747万円以下まで 第二種は年収1100万円以下まで ※奨学金の種類や子供の人数によって年収制限が異なる |
成績 | 問われない | 問われない | 問われる ※成績が5段階評価のうち 評定3.5以上などの条件あり |
申し込める時期 | 一年中 | 一年中 | ■(予約採用) 1.高校3年の5月~6月頃 2.高校3年の10月~11月頃 ■(在学採用) 進学後の毎年春 ■(緊急・応急採用) 進学後の緊急時(随時) |
審査にかかる日数 | 20日程度(2~3月は1か月以上) | 10日程度 | 3~5ヶ月 |
最大融資額 | 最大350万円 ※学生1人あたり |
300~1000万円 | 第一種は最大月額64,000 第二種は最大月額120,000円 ※学生1人あたり |
融資方法 | 融資額を一括で振込 | 融資額を一括で振込 | 毎月定額を振込 |
金利(年率) | (固定)1.66% | 3%~10% | 無金利または 0.001%~3.0% ※奨学金の種類により異なる |
入学前の受け取り | 可能 | 可能 | 不可(最短でも4月) |
返済が始まる時期 | 借入の翌月から | 借入の翌月から | 卒業後から |
表からも分かる通り、奨学金の金利は断トツに低いですが、受け取りが入学後になります。
そこで教育ローンと奨学金を一緒に使うことを、当サイトでは提案しています。
詳しくは後ほど説明します。
<関連記事>:未成年(18歳・19歳)でもお金を借りれるカードローンは?
低金利の教育ローンは?上手な活用法は?
ここまで教育ローンの仕組みやメリット点、デメリットについて見てきました。
ここからは、低金利の教育ローンや教育ローンの上手な活用法について紹介します
各種の教育ローンを比較してみた
教育ローン | 金利(年率) | 借入金額 |
---|---|---|
国の教育ローン | (固定)1.66% | 350万円以内(学生一人あたり) |
三菱UFJ銀行 | (変動)3.975% | 30万円以上、500万円以内 |
三井住友銀行(無担保) | (変動)3.475% | 10万円以上300万円以内 |
みずほ銀行 | (変動)3.475% | 10万円以上300万円以内 |
オリコ | 学校によって適用金利が変わる | 10万円以上500万円以下 |
セディナ | 学校によって適用金利が変わる | 4万円以上500万円以下 |
以上の表は、国と民間の教育ローンの金利と借り入れ限度額を、比較した表です。
こうして見ると、国の教育ローンの金利が突出して低いのが分かります。
次に低いのが銀行の教育ローンで、どこも4%未満の水準です
オリコやセディナといった信販会社は、学校経由で申し込みをする教育ローンです。
どの学校から申し込むかによって適用金利は変わりますが、金利水準は年率5%から10%程度です
<関連記事>:【元銀行員が解説】高校生がお金を借りる方法は?
イチオシは国の教育ローン
上の表からも分かりの通り、当サイトとしておすすめの教育ローンは、国の教育ローン(日本政策金融公庫)です。
間違っても、学校経由の教育ローン(信販会社)は利用しないでください。
とはいえ、どなたでも国の教育ローンに申し込みができる訳ではありません。
申し込み条件として、以下を満たしている必要があります。
・年収が200万円以上であること
・世帯年収が高すぎないこと
・信用情報機関に事故情報の登録がないこと
「世帯年収が高すぎないこと」の部分が分かりづらいので、以下の表をご覧下さい。
お子さまの人数 | 世帯年収(所得)の上限額 |
---|---|
1人 | 790万円(590万円) |
2人 | 890万円(680万円) |
3人 | 990万円(770万円) |
4人 | 1,090万円(870万円) |
5人 | 1,190万円(970万円) |
(出典):教育ローンの利用条件 | 日本政策金融公庫
こちらの表の通り、子供の数に応じて上限とされる世帯年収が違います。
これを上回る年収だと申し込みができません。
括弧内の金額は、事業所得者の場合の所得上限額です。
通常、申し込みから融資まで20日ですが、申し込みが殺到する2~3月は別です。
4月入学を予定しているなら、余裕を持って、前年の12月には申し込みを完了させておきましょう。
奨学金との組み合わせを考えること!
ここまで教育ローンの上手な活用方法について、見てきました。
ですが可能ならば、教育ローンと奨学金と組み合わせた活用をよりオススメします。
奨学金の最大の利点は、その金利の低さです。
第二種の奨学金でも、金利はたとえば0.156%(貸与終了時に決まる)と、国の教育ローンに比べてさらに低いです。
一方で奨学金にも、欠点があります。
それはお金の受け取り時期が、入学後になることです。
このため入学料や授業料を、奨学金で支払うことができません。
そこで提案したいのが、先に教育ローンで借り入れをして、入学後に奨学金で借り換える方法です。
まず、進学を控えた高校3年の5~6月、ないし10~11月に奨学金の申し込みをします。
次に、12月に国の教育ローンの申し込みをします。
この教育ローンのお金で、入学金や進学のための費用を賄います。
その後、4月や5月に奨学金が手元に入ってくるため、このお金を使って教育ローンの返済に充てます。
これならば資金繰りの問題なく、より低金利での借り入れが可能になります。
是非検討して見て下さい。
以上を教育ローンの仕組みや上手な活用方法について見てきました。
教育ローンそのものは低金利ではありますが、より低い金利で教育資金の借入をしようと思うならば、奨学金との併用を考えるべきだというのが上での説明です。
ただし、このやり方は子供自身に借金を背負わせることになります。
そのリスクについては、お子さんとよく話し合ってください。
- 教育ローンとは、子供の教育資金のために親が借入するローン
- 教育ローンは国と民間の2種類あり、国の方が低金利(1.66%)
- 民間の教育ローンは銀行・信販会社が貸主などで、金利は3~10%程度
- 審査スピードが早いのが教育ローンの魅力だが、奨学金に較べて返済負担が重い
- 教育ローンで入学金・授業料を支払い、入学後に奨学金に借り換えるのがオススメ
<監修者のコメント>
合格発表通知が来たら、すぐに入学金、前期授業料、施設設備費などの、まとまった金額を支払わなくてはなりません。
推薦入試など、早い人で、高校3年生の秋には必要です。準備できない場合は、教育ローンを利用することになります。
国の教育ローンは合格が決まる前でも申し込むことができますので、早めに準備しておくことが大切です。
慌てて、金利の高いローンに手を出さないようにしてください。