最近ではお金を借りる手段として、カードローンがすっかり身近になりました。特に銀行カードローンは、銀行ならではの安心感もあって人気を集めています。
ですが銀行カードローンにも、デメリットやリスクはあります。安全にお金を借りたいなら、ポイントを押さえた上で利用する必要があります。
ここでは銀行カードローンの基本と、利用上の注意点について解説します。
目次
銀行カードローンとは?分かりやすく解説
銀行カードローンとは?
銀行カードローンとは銀行が扱うカードローンのことで、無担保・無保証の個人向けローン商品です。銀行ではカードローン以外にも、住宅ローンなどの個人向けの融資商品も扱っています。
他のローンは1つの契約につき借入は一度だけで、追加でお金が必要になった場合は、改めて審査を受けます(こうした貸付方法を「証書貸付」と言います)。一方の銀行カードローンは、借入枠内であれば何度でも借入できます(これを「極度借入」と言います。
追加の借入の際に審査を受ける必要がないので、利便性が高いです。銀行ならではの安心感もあり、利用者・貸付額を伸ばしてきました。
<関連記事>:カードローンとは?わかりやすく解説!
銀行系カードローンとは?
銀行カードローンとよく似た言葉に、「銀行系カードローン」があります。銀行系カードローンは、銀行カードローンと全く同じ意味で使われる場合もあります。
一方で、銀行の傘下にある消費者金融カードローンを含める場合もあります。銀行傘下の消費者金融として大手では、アコム・プロミス・SMBCモビット・レイクALSAがあります。
例えばアコムはMUFGグループの、プロミス・SMBCモビットはSMBCグループ、レイクALSAは新生フィナンシャルグループの一員です。こうした会社は、貸金業法の改正に伴って収益環境が悪化したため、銀行からの資本を受け入れました。
銀行系カードローンという言葉を見た際は、それが消費者金融と銀行カードローンのどちらを指しているかを意識して下さい。
消費者金融との違いは?
銀行カードローンとよく比較されるのが、消費者金融です。貸主の業態によって区別されるだけで、基本のサービス内容に大きな違いはありません。
ただし特徴には、大きな違いがあります。以下の表をご覧ください。
銀行カードローン | 消費者金融 | |
---|---|---|
審査スピード | 遅い(審査の回答は最短でも翌営業日) | 早い(最短30分) |
金利 | やや高い(上限15%) | 高い(上限18%) |
審査の厳しさ | 少し厳しい | 普通 |
即日融資 | × | 〇 |
消費者金融の最大の特徴は、融資までのスピードの早さです。最短30分で審査結果が出て、最短1時間で借入可能です。
一方の銀行カードローンは、消費者金融に比べて審査にやや時間がかかります。とは言え、最短で翌営業日に審査結果が出るので、他のローンに比べれば十分早いです。
なお銀行カードローンは審査が少し厳しいため、金利は消費者金融よりもその分だけ低くなっています。金利だけで比べると、銀行カードローンの方が有利だと言えます。
<関連記事>:お金を借りるならどっち?消費者金融 vs 銀行カードローン
銀行カードローン問題とは?
上では銀行カードローンの審査が少し厳しいと説明しましたが、実は消費者金融よりも甘い審査が行われていた時期がありました。そうした銀行の融資姿勢が引き起こした問題は、「銀行カードローン問題」としてマスコミから批判を浴びることになりました。
銀行カードローン問題とは簡単にいうと、銀行カードローンによる過剰貸付問題のことです。2016年の秋ごろに日弁連が声を上げ、2016年末ごろからマスコミでも大きく取り上げられ、社会問題として世間の関心を集めました。
当時、債務整理や自己破産件数が減少から増加に転じました。それらと銀行カードローンとの因果関係は不明でしたが、やり玉にあげられたのは銀行カードローンでした。
そのころ銀行カードローンは貸出を増やすだけでなく、返済能力の怪しい人(無職やニート)にまで融資を急拡大させていたからです。世間からの批判を受けて、全国銀行協会は自主規制を発表しました。
審査体制を見直し、借主の返済能力を厳しくチェックするようになりました。このように銀行カードローンの現在の審査姿勢は、銀行カードローン問題に端を発しています。
<関連記事>:銀行カードローン問題とは?分かりやすく解説
銀行カードローンはどのくらい利用されている?
銀行カードローンの市場規模は?
<出典>
銀行カードローンのフォローアップ調査結果について|金融庁
貸出先別貸出金 | 日本銀行 (2020年3末データ)
銀行カードローンの市場規模は2012年以降、上昇し続けていましたが、2017年をピークに減少しています。これには上で見た銀行カードローン問題により、銀行が審査を厳しくした影響が出ていると思われます。
2017年では約5兆8億円でしたが、2020年3月の時点で5兆5億円に減少しています。
銀行カードローンが選ばれる理由は?
全国銀行協会の調査によると、借入のために銀行カードローンを選んだ理由として、23%の人が「銀行だから安心できると感じた」と答えています。次いで10.6%の人が「消費者金融より金利が低いから」、3位は8.1%で「ネットやスマホで申し込みできるから」と回答しています
<出典>:銀行カードローンに関する消費者意識調査 | 全国銀行協会
では他の個人向けローンに較べて、銀行カードローンはどの程度の信頼感を持たれているでしょうか?先ほどのアンケートによると、借入が必要な場合に候補先に挙がる割合として、銀行カードローンが全体の20.9%、クレジットカード(のキャッシング)が14.8%、消費者金融が5.6%と回答しています。
銀行カードローンが他の個人向けローンに較べても、信頼感・安心感を抱いている人が多いことが分かります。
利用者の借入総額はどれくらい?
全国銀行協会の調査では、利用者の借入金額も明らかになっています。銀行カードローン利用者の借入総額は、「50万円以下」が45.5%、「51~200万円以下」が32.6%、「201~500万円以下」が14.3%で、平均借入総額は158.1万円となっています。
50万円以下の割合が最も高いことから、一時的な少額借入のために銀行カードローンを利用する人が多いと読み取れます。また借入総額の年収比率では、「年収の3分の1以下」が57.6%、「年収の3分の1超~2分の1以下」が22.0%、「年収の2分の1超~100%以下」が10.0%となっています。
後ほど説明しますが、銀行カードローンは総量規制の対象外です。そのため年収の3分の1を超える借入をしている人も、ある程度います。
銀行カードローンの魅力・メリットは?
1.金利が少し低い
上でも触れたように、銀行カードローンは消費者金融と比べて金利が低めです。以下の表は、大手の銀行カードローンと消費者金融の金利をまとめたものです。
銀行カードローン | 金利(年率) |
---|---|
三井住友銀行カードローン | 4.0%~14.5% |
バンクイック | 1.8%~14.6% |
みずほ銀行カードローン | 2.0%~14.0% |
消費者金融カードローン | 金利(年率) |
プロミス | 4.5%~17.8% |
SMBCモビット | 3.0%~18.0% |
アコム | 3.0%~18.0% |
どのカードローンも金利に幅がありますが、初回借入では上限金利が適用されるケースがほとんどです。上限金利は銀行カードローンで15%以下、消費者金融で18%となっています。
少しでも低い金利で借りたい人は、低金利の銀行カードローンを選ぶと良いでしょう。
<関連記事>:【低金利で選ぶ】カードローン上位15社を比較!
2.総量規制の対象外
「総量規制」とは、貸金業法に定められた、個人の借入を年収の1/3までに制限する規制です。消費者金融は貸金業法が適用されるので、総量規制の対象です。
一方で銀行は銀行法が適用されるので、貸金業法は適用されません。したがって銀行カードローンは、総量規制の対象外なので、年収の1/3以上の借入も可能です。
3.専業主婦でも申し込み可
消費者金融の場合、収入ゼロの専業主婦は申込不可です。総量規制によって、借入が年収の1/3までに制限されているためです。
一方で一部の銀行カードローンでは、専業主婦でも申込が可能です。ただし配偶者に安定した高収入があることが条件で、本人の借入枠も最大30万円までです。
法律上は借入可能ですが、実際に専業主婦が審査に通るのは、かなり難しくなっています。
<関連記事>:専業主婦でも借りれるカードローンは?
4. 銀行ならではの安心感・信頼感
先のアンケートにもあるように、銀行カードローンが選ばれる一番の理由は、安心感や信頼感です。通常の銀行取引と同じ感覚で、あまり気負わずに借入できます。
一方で消費者金融の世間的なイメージは、あまり良くありません。先の全国銀行協会のアンケートでは、消費者金融の借入について8割強の人が「必要があっても利用しない」と回答しています。
銀行カードローンだとこの数字は5割なので、消費者金融のマイナスイメージがいかに強いかが分かります。
<関連記事>:消費者金融でお金を借りるデメリットとは?
意外に知られてない?銀行カードローンのデメリットは?
上では、銀行カードローンの特徴やメリットについて見てきました。ですが、銀行カードローンにもデメリットはあります。
ここでは、あまり知られてない銀行カードローンのデメリットを解説します。
1.即日融資に対応していない
現在、銀行カードローンは即日融資に対応していません。銀行では審査の一環として、反社チェック(=申込者が反社会的勢力でないことの確認)を行います。
この反社チェックに時間がかかるため、銀行カードローンの審査の回答は、最短でも翌営業日です。即日融資を希望するなら、消費者金融を選択しましょう。
<関連記事>:即日融資ランキングを解説!
2.審査がやや厳しめ
上で見たように、銀行カードローンの金利は、消費者金融に比べて少し低めです。ですが金利が低い分、審査はやや厳しめです。
このため万が一を考え、複数の銀行カードローンに同時に申し込む人が時々います。ですが複数同時に申し込むのは、絶対にやめましょう。
カードローンへの申し込み情報は、カードローン会社を通じて信用情報機関に登録されます。あなたが仮にA社で申し込みをした後にB社で申し込みをした場合、あなたが事前にA社にも申し込みをした事をB社は知ることが出来ます。
短期間で複数社への申し込みは、「切迫詰まっている」という印象をカードローン会社に与え、審査にはマイナスです(これを「申し込みブラック」と呼びます)。「銀行カードローンの審査に落ちたけど、消費者金融では通った」というケースは多くあります。
借入できるか自信がない人は、消費者金融の利用がおすすめです。
3.銀行口座が必要な場合もある
多くの銀行カードローンでは利用にあたって、その銀行の口座を持っている必要があります。口座がない場合、カードローンの申込と合わせて、口座開設も行うことになります。
ですが口座開設のために1~2週間待つ必要があるので、急ぎの借入には向いていません。例外として、「三井住友銀行カードローン」と「三菱UFJ銀行バンクイック」は口座なしで利用可能です。
一方の消費者金融は、銀行口座なしでも申し込み・借入が可能です。
4.消費者金融より返済負担が重くなる場合あり
銀行カードローンは消費者金融より金利が低いですが、逆に返済負担が重くなる場合があります。その原因の1つとして、銀行カードローンの方が返済期間が長いことが挙げられます。
詳細については、後ほど<銀行カードローンの危険性(リスク)!利用上の注意点は?>で説明します。
銀行カードローンの危険性(リスク)!利用上の注意点は?
借りすぎのリスク
銀行カードローンは用途が自由で、借入枠内なら何度でも借入可能です。利便性が高い上に、総量規制の対象外なので、年収に比べて多額の借入も可能です(審査に通る必要はありますが)。
審査が厳しいとはいえ、一部の地銀は年収の1/2の貸出に応じている例もあります。こうした「多額の借入ができる利点」は、一歩間違えればリスクになりえます。
自分の年収に見合わない過度な借入をすると、毎月の返済が厳しくなり、最終的には債務整理に追い込まれてる可能性が高くなります。自分の返済能力をよく理解した上で、借りすぎないように自制することが大切です。
銀行が年収の1/3を超える貸出を認めてくれるとしても、他社も含めた借入合計は年収の1/3以下に留めるべきです。
最低返済額が低い
最低返済額とは、カードローンの毎月の返済で、最低限支払うべき金額です。最低返済額は会社によって違いますし、借入残高が増えるにつれて最低返済額も増えます。
以下は大手の銀行カードローンと消費者金融の、最低返済額をまとめた表です。
最低返済額(借入残高10万円場合) | 最低返済額(借入残高100万円の場合) | |
---|---|---|
三井住友銀行カードローン | 2,000円 | 16,000円 |
三菱UFJ銀行カードローン | 2,000円 | 22,000円 |
みずほ銀行カードローン | 2,000円 | 20,000円 |
プロミス | 4,000円 | 26,000円 |
アイフル | 5,000円 | 30,000円 |
アコム | 5,000円 | 30,000円 |
表から分かるように、最低返済額は銀行カードローンの方が低く設定されています。最低返済額が低いということは、毎月の返済負担が軽いということで、返済がそれだけ楽ということです。
一見すると良いことに見えますが、毎月の返済が少ないということは、完済までの期間がその分だけ伸びることも意味します。これが、新たなリスクを生むことになります。
返済期間が長くなり、返済負担が重くなる
最低返済額が低いことに加え、毎月の返済額が少しずつ減る点にも注意が必要です。これは、銀行カードローンの返済方式が関係しています。
銀行カードローンも消費者金融も基本的に、「残高スライド元利定額」と呼ばれる返済方式を採用しています。先ほどの表でも見た通り、借入残高に応じて毎月の返済額が変わる方式です。
ですが銀行カードローンと消費者金融で、この返済方式の運用方法に違いがあります。消費者金融では借入時の残高によって毎月の(最低)返済額が決まり、完済まで返済額は変わりません。
一方の銀行カードローンは返済が進み借入残高が減るに応じて、毎月の(最低)返済額も減少します。つまり元々の最低返済額が低い上に、返済が進むにつれて返済額が減っていくのが銀行カードローンの特徴です。
このため同じ借入金額でも、銀行カードローンの返済期間が消費者金融より長くなります。このため銀行カードローンの方が低金利なのに、返済総額で見ると消費者金融より負担が重くなるケースが多いです。
これを防ぐには、返済金額を積極的に上乗せする(=繰り上げ返済を活用する)ことです。上乗せした返済分は元本の返済に充てられるため、返済期間を短くでき、返済総額を抑えることができます。
銀行カードローンは毎月の返済こそ楽かもしれませんが、結果として返済負担が重くなっている点には十分注意して下さい。
<関連記事>:カードローンの返済方式を比較してみた
銀行が扱う他のローンに較べて、金利が高い
銀行カードローンの金利は、消費者金融より低いといっても一般的には割高です。教育ローン、マイカーローンなど、銀行が扱う他の無担保ローンに較べると、格段に金利が高いです。
以下は、みずほ銀行が提供するローン商品と、貸付条件です。
みずほ銀行のローン商品 | 金利(年率) | 借入上限額 |
---|---|---|
カードローン | 2.0~14.0% | 800万円 |
多目的ローン(フリーローン) | 5.875%(変動)6.5%(固定) | 300万円 |
リフォームローン | 3.975%(変動)4.05~4.7%(固定) | 500万円 |
教育ローン | 3.475%(変動)4.05%(固定) | 300万円 |
住宅ローン | 0.625%(変動)1.08%(固定) | – |
(注:上記は2019年10月時点の数字です)
この中で住宅ローンは担保が必要なため、格段に金利が低いです。それ以外は無担保ローンですが、それでもカードローンよりも格段に金利は低いです。
ただ目的別ローンになるため、カードローンのように自由な借入はできません。資金使途が原則自由なローンなら、フリーローンがあります。
年率5~7%台で低金利なのは魅力ですが、審査は格段に厳しいです。気軽な利用なら銀行カードローンで良いですが、金利が気になるなら他のローンを検討すべきです。
<関連記事>:お金を借りるなら、どこがおすすめ?
ここまで銀行カードローンの基本と、利用上の注意点について解説しました。消費者金融よりも金利が低く、安心感のある銀行カードローンは、借入の際の心強い味方です。
ですが借り過ぎたり、返済が長期化するリスクもあるので、注意点を押さえた上で活用するように心がけましょう。
銀行カードローンのおすすめランキング
この記事のまとめ |
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