「多重債務に陥ってしまい、お金が返せない…」など、消費者金融への借金返済でお悩みの人もいるでしょう。
借金の返済に無理がある場合は、債務整理を行うことで借金を減額したり、支払いを待ってもらえるケースもあります。
一方で債務整理には、それなりのリスク・デメリットもあります。
ここでは、消費者金融の債務整理を行う前に、知っておきたいことを見ていきます。
目次

この記事の監修者: 弁護士 郡司 理
都内法律事務所勤務を経て、2017年に弁護士法人日栄法律事務所共同代表 虎ノ門,池袋,町田にオフィス開設 取扱い分野は建築紛争、労働事件、ハラスメント対応など
債務整理を行う前に、この点に注意しましょう!
債務整理を行うメリットはもちろん、「借金が減ること・ゼロになること」や「取り立てがストップすること」です。
しかし一方で、デメリットもあります。
注意点1:「ブラックリスト」に登録される
債務整理すると、いわゆる「ブラックリスト」に名前が載ります。
ブラックリストとは、「信用情報機関に事故情報が載ること」の俗称で、実際にそうしたリストがある訳ではありません。
事故情報とは、借金の返済に問題があったことを示す情報です。
この情報は信用情報機関を通じて各金融機関で共有されるため、一度「ブラックリストに載る」と、その間、借り入れがどの金融機関でもできなくなります。
<関連記事>:消費者金融で滞納するとブラックリストに載るって本当?
注意点2:税金の支払い義務は残る
債務整理を行ったとしても、税金や社会保険は一切減額されません。
しかし、税金などの支払いが一時的に困難な場合は、市区町村役場へ相談することで、支払い方法変更など対応してくれるケースがあります。
注意点3:保証人への取り立ては続く
借金をした本人は債務の減免があったとしても、保証人への取り立ては続きます。
本人が支払えない場合に、保証債務を負うのが保証人だからです。
<外部の関連サイト>:連帯保証人とは?保証人との違いを分かりやすく解説
債務整理は4種類ある。それぞれの特徴は?
債務整理には大きく分けて「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」の4つの方法があります。
あなたの状況に適した方法を選ぶために、まずはそれぞれどんな特徴があるのか、簡単にチェックしておきましょう。
1.任意整理
任意整理とは、「これから先の利息をカットしてもらったり、分割払いにしてもらう手続き」のことです。
あくまで返済計画の見直しの交渉なので、今ある借金がゼロになるわけではない点に注意しましょう。
過去に払い過ぎた利息(=過払い金)がある場合は、その返還を求める事もできます。
債権者(=消費者金融)との話し合いや手続きは、弁護士か司法書士へ依頼するので、自分の時間や手間がとられません。
<外部の関連サイト>:任意整理とは?そのデメリットを分かりやすく解説
2.特定調停
特定調停も、任意整理と同様に、債権者との和解契約によって、今後の利息をストップさせたり、分割払いにしてもらったりする手続きです。
ただし債権者(=消費者金融)との交渉方法に、違いがあります。
任意整理では債務者(つまり、あなた)が、消費者金融と直接交渉をします。
特定調停では、交渉の仲介で裁判所に間に入ってもらいます。
裁判所への申し立てなどの手続きは、原則自分で行う必要があります。
弁護士に助言をお願いすることは可能ですが、交渉そのものは債務者自身が行う必要があります。
調停に時間と手間がかかるだけでなく、交渉力も求められます。
このため現在では、特定調停が行われるケースは少ないです。
3.個人再生
個人再生とは、「裁判所を通じて借金を減額する手続き」を指します。
原則として債務は5分の1に減額され、これを3年〜5年かけて返済します。
借り入れ負担を大幅に圧縮できる点は魅力ですが、家族に内緒で続きをするのは難しいです。
また保証人のついた債務がある場合、その債務分は保証人に支払請求がされます。
4.自己破産
自己破産とは、「借金が免除される手続き」のことです。
破産宣告後、免責許可を得る必要があります。
自己破産を行う人の数は年々増えており、「借金しまくっても自己破産すれば全部チャラになる」と考えている人もいるかもしれません。
確かに自己破産によって借金は0円になりますが、デメリットの大きさも忘れてはいけません。
<関連記事>:カードローンの自己破産で絶対知っておきたい点
消費者金融にオススメの債務整理はどれ?
以上、債務整理の4つの方法を確認しました。
どの債務整理を選択するかは、あなたがどんな状況かによって違ってきます。
<利息さえなければ、返済はできそう>
利息の支払いさえなければ返済が続けられそうという人は、任意整理を選ぶとよいでしょう。
弁護士(か司法書士)が申し立てれば、すぐに取り立てが止まり、元本のみの返済になります。
スピーディーに手続きできて、家族にバレないのも魅力です。
注意点として、元本自体が減る訳ではないので、返済が大幅に楽になる訳ではないことです。
<元本の返済は厳しいけど、なんとか自宅は確保したい>
たとえ利息が止まっても返済の見込みがない人は、個人再生の手続きを取ると良いでしょう。
借り入れは最大で1/5まで圧縮され、残りを3年から5年をかけて返済します。
後で述べる自己破産と違って、自宅が取り上げられることはありません。
注意点として、借り入れを圧縮しても返済が難しい場合は、選択ができません。
任意整理と違って手続きに時間がかかり、家族に内緒にもできません。
<返済の見込みが全く立たない>
たとえ元本が1/5になっても返済が難しそうな人は、自己破産を選択するとよいでしょう。
全ての借金が帳消しになり、身軽な身となれます。
注意点として20万円以上の資産を全て手放す必要があること、特定の職業(弁護士など)に就けなくなることです。
任意整理の債務を選別して、上手に債務整理をしよう!
任意整理では、整理する債務を選択できます。
できるだけ、自分に有利な形で債務整理を行いましょう。
以下では、そのためのポイントを紹介します。
ローン返済中の債務は対象からはずす
たとえば、ローン返済中の自動車を使っていて、これからも乗りたいと考える場合は、その自動車ローンを整理対象から外した方がよいでしょう。
住宅ローンやクレジットでローンを組んでいる場合も同様です。
保証人のいる債務ははずす
「債務整理はしたいけど、保証人に迷惑をかけたくない…」という場合は、保証人のついている債務を整理対象から外すことができます。
保証人の付いた債務も任意整理の対象に含めてしまうと、債権者はその債務の弁済を保証人に求めます。
つまり債務者(つまりあなた)と、保証人の関係が悪化するリスクがあります。
その他、対象から外しておいたほうが良いもの
残債務が少なかったり、取引期間が短かったりする債務など、返済の目処が立ってるなら、対象から外しておくとよいでしょう。
このように、手放したくない資産がある場合は、対象が選べるのが任意整理の利点です。
<関連記事>:保証人なしで借金!お金を借りるための条件は?
消費者金融の任意整理は、弁護士に任せよう!

任意整理を弁護士に任せた方がよい理由
司法書士の場合、依頼できるのは個別の債務が140万円以内に限られる一方、弁護士にはそうした制約がありません。
また、任意整理の交渉を行ってみたものの和解に至らなかった場合や、任意整理後の返済にも行き詰まってしまった場合、弁護士なら引き続き相談ができます。
司法書士でも個人再生・自己破産の手続きはできますが、仕事内容が制限されるため、弁護士に較べて、仕事をまかせっきり(丸投げ)にできないのです。
任意整理は、弁護士に依頼する方が無難です。
弁護士の依頼費用は1社6万円(目安)
弁護士への任意整理の依頼費用は、主に「相談料」「着手金」「報酬金」の3つがあります。
相談料は無料のところもあります。
着手金と報酬金については、法律で定められているものではなく、依頼する弁護士によって異なるため、明確にいくらとは言えません。
しかし、上限の目安となる基準はあります。
東京三弁護士会(東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会)が定めた「クレジット・サラ事件報酬基準」によれば、「着手金」は「1社あたり4万円」、和解成立時の「報酬金」は「1社あたり2万円」です。
<外部の関連サイト>:債務整理の弁護士報酬に新たなルールを作りました | 日弁連
合計すると、1社あたり6万円が目安となります。多重債務10社分であれば、60万円です。
債務整理後に消費者金融からお金を借りることはできる?
無事に債務整理を終えた後で、再びお金を借りることはできるのでしょうか?
先ほども書いた通り、債務整理をした情報は、信用情報機関に完済後の5年間だけ残ります。
その期間中の借入は不可能です。
5年が経過すれば(自己破産の場合は10年の場合も)、信用情報機関に登録されていた事故情報がなくなり、まっさらな状態となります。
これで借り入れが再開できるようになります。
<関連記事>:キャッシングの借金履歴(信用情報)はいつまで残る?
以上、消費者金融の債務整理について見てきました。
上でも紹介した通り、一口に債務整理といっても種類があり、その人の状況に応じて適切な債務整理は違ってきます。
上の情報を参考に、ご自身にあった債務整理を選択しましょう。
また、債務整理の手続きは必ず専門家(できれば弁護士)に依頼しましょう。
この記事のまとめ |
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<監修者のコメント>
任意整理、特定調停、個人再生、自己破産にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
弁護士に依頼することで、弁護士の方で依頼者の方の負債の状況、返済能力の概要を把握し、依頼者の方意思を尊重しながら、最も適した債務整理の方法を選択し、手続を進めることができます。
その手続きの中で過払い金があることが判明すれば、過払い金請求をすることもできます。
弁護士など専門家への相談は敷居が高いと思う方もいらっしゃいますが、無料相談などお手軽に利用できる機会があり、また、専門家は丁寧に話をお聞きしますので,まずは専門家と話をすることを強くお勧めします。