借り入れをしている人なら、「おまとめローン」という言葉をよく耳にするかと思います。
おまとめローンは、上手く使えば借り入れの返済負担を軽減できる、便利なサービスです。
しかし使い方を間違えれば、今よりも返済が苦しくなる恐れがあり、最悪のケースとして債務整理に追い込まれる事態も起こりえます。
ここでは、おまとめローンを活用する上でNGなことや、おまとめローン審査を受けるにあたっての注意点を見ていきます。
おまとめローンとは?分かりやすく解説
複数あった借金を1つにまとめること
おまとめローンとは、複数の会社からの借り入れを一本化するためのローンを指します。
その方法は、複数の会社からの借り入れの合計と同額を、特定の1社から借り入れして、それを複数の会社への返済にあてます。
たとえばA社から30万、B社から50万、C社から20万を借りているとします。
ここで、計100万円を新たにD社から借りて、A社・B社・C社の返済に充てます。
この100万円のローンが、おまとめローンに当たります。
おまとめローンは借入金額そのものは変わりませんが、金利が低くなる場合が多いです。
<関連記事>:消費者金融の借り換えで絶対NGな3つのポイントは?
消費者金融や銀行カードローンで提供している
おまとめローンには、専用のローン商品として提供される場合と、通常のローンをおまとめ目的で利用する場合の2種類があります。
以下は専用のローン商品として提供されている、おまとめ専用ローンの一例です。
社名 | 金利 | 融資上限額 |
---|---|---|
アイフル(おまとめMAX) | 3.0%~17.5% | 800万円 |
アコム | 7.7%~18.0% | 300万円 |
プロミス | 6.3%~17.8% | 300万円 |
東京スター銀行 | 12.5% | 1000万円 |
おまとめ専用ローンのほとんどは消費者金融ですが、一部の銀行でも取り扱いがあります。
おまとめ専用ローンを使わない場合は、通常のローンを借り換え・おまとめ目的で利用します。
中でもカードローンは限度額が大きいので、おまとめにも十分活用できます。
おまとめローンを利用する人の割合は?
以下は銀行カードローン利用者における、おまとめローンの認知度・利用状況を表したグラフです。
<出典>:銀行カードローンに関する消費者意識調査|全国銀行協会
おまとめローンを知っている人は全体の8割弱であるように、認知度はかなり高くなっています。
ですが実際に利用したことがある人の割合は20.4%と、現状としては利用者がまだまだ限定されています。
おまとめローンのメリットとは?
1.金利を下げることができる
カードローン金利は、借入枠(契約額)が上がるほど低くなる傾向にあります。
こうしたカードローン金利の特徴を、ローンのおまとめに活用します。
おまとめローンとして借り入れを一本化することで、1社当たりの借入額が大きくなるため、適用金利が低く出来ます。
合計の借入額は同じなのに適用金利が低くなることで、トータルの返済金額を少なくできるという利点があります。
<関連記事>:消費者金融の金利・利息はどのくらい?
2.毎月の返済額を抑えれられる
複数の借り入れを一本化すると、毎月の返済額を減らすことも可能です。
カードローンの返済では、各社ごとに「最低返済額」が設定されています。
最低返済額とは、「毎月この金額以上を必ず返済する」という基準の金額で、借入残高に応じて設定されます。
借入残高が増えれば、それだけ毎月の最低返済額も増えるのですが、少し変わった特徴があります。
借入残高が増えても比例する形で最低返済額は増えず、少し抑えられた金額になるのです。
たとえばプロミスの借入30万円の最低返済額は1.1万円ですが、120万円の最低返済額は2.4万円です。
借り入れが4倍になったら最低返済額も4倍になっても不思議はないのに、実際は2倍にしかなりません。
おまとめローンの返済では、この特徴を利用します。
3社から借りている場合は、毎月3社分の最低返済額を支払う必要があります。
ですが、おまとめローンとして借り入れを一本化すると、借入合計は同じでも、上の理由から最低返済額を、おまとめ前より下げることができ、返済が楽になります。
<関連記事>:30万・50万円のお金を借りたら利息はいくら?
3.返済手続きが簡単になる
おまとめローンで借り入れ先を一本化すると、バラバラだった返済日を月一回にできるというメリットもあります。
管理がぐっと楽になり、返済忘れのリスクも減らせるでしょう。
返済時に負担する手数料も、借り入れ先の一本化によって節約できます。
4.総量規制の例外扱い
総量規制とは、個人が返済に苦しむほど借り入れないように、「個人の貸金業者からの借入が年収の3分の1までに制限される」仕組みです。
この仕組みでは、「利用者が一方的に有利になる借り換え」の場合は、例外として年収3分の1以上の借り入れが認められます。
<外部の関連サイト>:貸金業法Q&A | 金融庁
おまとめローンは、利用者に有利な借り換え例外なので、総量規制の例外として扱われます。
ただし、おまとめローンによって返済総額が増えた場合は、総量規制の例外が適用されないので注意してください。
<関連記事>:【元銀行員が解説】総量規制とは?その例外とは?
やっちゃダメ!おまとめローンでNGな行動
NG1. 月々の返済負担を抑えすぎる
上でみたように、おまとめローンを利用すれば、毎月の返済額を抑えることが可能です。
ですが毎月の返済を抑え過ぎると、目先の返済は楽になりますが、その分返済期間が伸びてしまいます。
返済期間が伸びると、それに比例して利息を含めた返済総額が大きくなってしまいます。
いくら月々の返済が楽になっても、おまとめ前より返済総額が大きくなってしまっては元も子もありません。
<関連記事>:借金返済ができない場合、どこに相談すれば良い?
NG2. おまとめローン利用中に新たに借り入れを行う
ローンをおまとめした人は、すでに多額の借り入れがあります。
本来なら、おまとめしたローンを返済することだけに専念すべきですが、別に新たな借り入れをする人が中にはいます。
こうした借り入れは返済負担をさらに増えることになり、返済不能に陥るリスクが高まります。
おまとめローンの返済中に新規の借り入れは、絶対にすべきではありません。
なお会社によっては、おまとめローン利用中は新規の借り入れを禁止しているケースがあります。
もし新規で借り入れをすると、契約違反として、全額を一括で返済するよう求められる場合があります。
おまとめローン利用中は、今の借入残高を減らすことが最優先です。
NG3. ほとんど金利が変わらないローンを利用する
ローンをおまとめした時の金利は、カードローン会社ごとに異なり、借入額が少額になるほど金利は高くなる傾向があります。
借入額が少ない場合は、思っているほど金利が低くならない可能性があります。
おまとめ前のカードローン金利が10%以下など元々低い場合も、おまとめローンを活用しても金利はほとんど変わらない可能性があります。
上で見たように、おまとめローンは返済期間が伸びて返済総額が大きくなるリスクがあります。
おまとめの前と後で金利がさほど変わらない場合は、このリスクもあるため、おまとめは行うべきではありません。
NG4. 違法業者から借りる
おまとめローンを餌に、「低金利で高額融資をする」といった話を持ち掛けてくる違法業者がいます。
好条件を提示されても、絶対に違法業者からは借りてはいけません。
借金をまとめる代わりに保証金を支払うように求められ、支払うも融資は行われないといった詐欺が報告されています。
他にも、融資はしてもらえるものの、法外な手数料を請求されるケースもあります。
<外部の関連サイト>:違法な金融業者にご注意! | 金融庁
おまとめローンの審査を受ける時の注意点
職歴や勤務年数が重視される
おまとめローンは、既に借金をしている人を対象としており、融資額も大きいです。
そのため、通常のカードローン以上に審査が厳しくなります。
申し込みの際は、「安定した収入があること」が必須条件です。
月によって収入が大幅に増減したり、2~3ヶ月に1回しか収入がないような人は、審査に通るのが厳しいでしょう。
たとえ安定収入があっても勤続年数が短いと、審査に通る確率は低くなります。
職を転々としている人は、信用力が低いとみなされるためです。
<関連記事>:消費者金融の審査担当者に聞いた!審査と取り立ての裏側
信用情報に傷がついているとNG
おまとめローンの審査では、過去の返済実績を厳しくチェックされます。
過去に延滞したなどの理由で、信用情報機関に事故情報のある場合は審査に通りません。
銀行でも消費者金融・信販会社でも、事故情報は信用情報機関を通じて広く共有され、審査で必ずチェックされます。
当然、過去5年以内に債務整理を行った人もローン審査には通りません。
<関連記事>:キャッシングの借金履歴(信用情報)はいつまで残る?
借入件数が多すぎる人は要注意
以下は、借入経験者に対して現在の借入件数を調査し、その結果を示したグラフです。
<出典>:銀行カードローンに関する消費者意識調査|全国銀行協会
グラフからわかるように50.6%の人が2社以上の会社から借り入れをしています。
中には4社、5社以上の会社から借り入れている人もいます。
おまとめローンは、複数の借り入れを一本化するためのローンですが、借入件数が多すぎる人は審査に通りません。
ローン審査では、「借入件数が多い人=信用力が低い人」と判断されるためです。
借入先が5社以上ある人は、ほぼ確実に審査に落ちてしまいます。
4社以上でも審査は厳しくなるため、なるべく3社以内に抑え、借入残高も減らした上で申し込むと良いでしょう。
ローンのおまとめ、オススメの方法は?
上で見た通り、おまとめローンはおまとめ専用ローンと、通常のローンを利用して借り入れを一本化する方法の2タイプあります。
また借入先を銀行にするか、消費者金融にするかの問題もあります。
どういうローンのおまとめが、良い条件を引き出せるでしょうか?
当サイトで一番のオススメは、銀行が提供するフリーローンです。
無担保のフリーローンの金利相場は6%から10%弱でかなり低く、借入上限額も300万円から1000万円までと、カードローンと変わらぬ金額です。
金利が低い分、フリーローンの審査は厳し目で、カードローンの審査よりも通りづらいです。
また審査期間も、1週間から2週間と長めです。
ローンのおまとめとして誰にでもおススメできる方法ではありませんが、カードローンよりも金利がかなり低いので、高収入のサラリーマンの方なら、是非検討すべきです。
<関連記事>:【元銀行員が解説】おすすめのフリーローンを紹介します!
フリーローンの利用が難しい場合、次にオススメなのは銀行カードローンでのおまとめです。
消費者金融でのおまとめに比べると、より低い金利での借入の一本化が期待できます。
ただし審査は銀行カードローンの方が厳しいため、審査に通らない可能性もあります。
特にローンの一本化は借入額も大きくなるため、通常の審査よりも厳しいです。
<関連記事>:銀行カードローンとは?メリットとデメリット・リスクを解説します
銀行カードローンの審査も厳しいようなら、消費者金融でのおまとめを検討しましょう。
消費者金融はおまとめ専用ローンも用意していますが、通常の借入で申し込んでも大丈夫です。
ただしローンのおまとめに当たっては、金融機関から提示された金利条件で、返済総額がおまとめ前より、どの位減ったかを必ず確認して下さい。
返済総額が減らない借り換え(おまとめ)は、絶対にやらないよう気を付けて下さい。
<関連記事>:【元銀行員が解説】消費者金融のおすすめランキング!
ここまで、おまとめローンを活用する上で、NGなことや注意点を見てきました。
返済負担を減らせる反面、場合によっては返済総額が、おまとめ前よりも高くなってしまう可能性もあります。
自分の借入状況などをよく踏まえた上で、上手な活用を目指しましょう。
- おまとめローンとは、複数の借り入れを一本化するためのローン
- おまとめローンを利用すると、金利が下がり、返済管理も楽になる
- 毎月の返済額を抑えられるが、その分返済期間が伸びて返済総額が増えるケースもあり
- おまとめローンの審査は、通常のカードローンよりも厳しめ
- ローンのおまとめは、銀行のフリーローン、銀行カードローン、消費者金融の順で検討すべき