「アドオン方式」とか「アドオン金利」といった言葉を、聞いたことはあるでしょうか?最近あまり使われなくなったので、馴染みのない方もいるかもしれません。
とはいえアドオン金利(方式)は今でも、クレジットカードの分割払いなどで使われております。今回はアドオン方式(アドオン金利)について解説します。
目次
アドオン方式とは?キホンから解説!
まずは、「アドオン方式とは?」から説明します。言葉にすると少し分かりづらいですが、計算式そのものは簡単です。
アドオン方式とは、利息(金利)の表示方式
アドオン方式とは、利息(金利)の表示方式の一つです。アドオン方式では、借入金額にアドオン金利を掛けることで利息の総額を出し、これに借入金額を足した金額(=返済総額)を、決められた回数で均等に分割返済していきます。
後で詳しく説明しますが、計算が分かりやすいのが特徴です。以前は消費者金融の金利表示で使われることもありましたが、現在ではクレジットカードの分割払いで使われる程度です。
<関連記事>:消費者金融の金利相場は?金利はどうやって決まるの?
利息の表示方式は2タイプある
利息の表示方式は、大きく言って二タイプあります
<アドオン方式>
借入額に対して、最初に返済利息の総額が決まります。上でも説明した通り、計算式が分かりやすいのが特徴です。
<実質年率(金利)方式>
借入れ残高に応じて、返済利息が決まります。アドオン方式に較べて、計算式が分かりづらいです。ただし、現在の利息(金利)の表示方式としては、こちらが主流です。
言葉にすると上記の通りですが、少し難しいですよね。アドオン方式と実質金利の違いは、以下で述べる返済シュミレーションで較べると、よく分かります。
<関連記事>:実質年率とは?元銀行員が解説!金利と何が違うの?
アドオン方式で返済利息を計算してみよう
アドオン方式について、より深く理解するためには、返済シュミレーションを見るのが一番です。実質金利の返済シュミレーションと見較べながら、アドオン方式について解説します。
アドオン方式による返済シュミレーション
ここでは実際にアドオン方式(金利)で借りた場合の、返済シュミレーションを見ていきます。
<条件>
・借入(元本):12万円
・アドオン金利:10%
・返済回数:12回払い
返済回数 | 毎月返済額 | うち元本返済 | うち返済利息 |
---|---|---|---|
1 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
2 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
3 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
4 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
5 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
6 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
7 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
8 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
9 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
10 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
11 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
12 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
累計 | 132,000 | 120,000 | 12,000 |
表を見ると分かる通り、毎月の返済額、元本返済、返済利息がどれも同じで分かりやすいですね。この分かりやすさが、アドオン金利(方式)の特徴です。
実質金利(年率)による返済シュミレーション
次に実質金利(年率)による、返済シュミレーションを見ていきます。
<条件>
・借入(元本):12万円
・実質金利:10%
・返済回数:12回払い
返済回数 | 毎月返済額 | うち元金返済 | うち利息返済 |
---|---|---|---|
1 | 10,549 | 9,549 | 1,000 |
2 | 10,549 | 9,629 | 920 |
3 | 10,549 | 9,709 | 840 |
4 | 10,549 | 9,790 | 759 |
5 | 10,549 | 9,872 | 677 |
6 | 10,549 | 9,954 | 595 |
7 | 10,549 | 10,037 | 512 |
8 | 10,549 | 10,121 | 428 |
9 | 10,549 | 10,205 | 344 |
10 | 10,549 | 10,290 | 259 |
11 | 10,549 | 10,376 | 173 |
12 | 10,555 | 10,468 | 87 |
累計 | 126,594 | 120,000 | 6,594 |
毎月の返済額そのものは変わりませんが、利息返済が回数を追うごとに減っているのが分かります。一方で元本返済の額は増えていますね。
このように、実質金利にすると計算が少し、ややこしくなります。
<関連記事>:30万・50万円のお金を借りたら利息はいくら?
アドオン方式の方が、金利負担が重くなる
上では、借入額・金利・返済回数を同じにして、アドオン方式と実質金利を比較しました。では利用者にとって、アドオン方式と実質金利のどちらがお得でしょうか?
もう一度、先ほどの表を比較して下さい。累計で比較すると、アドオン方式は実質金利の倍近くの返済利息を支払っています。
つまり同じ条件なら、実質金利の方がずっと有利です。でも、なぜしょうか?実質金利(年率)の返済シュミレーション表を、もう一度ご覧下さい。
実質年率方式では、返済が進むごとに返済利息が減っています。これは返済が進むごとに借り入れ残高が減り、それに合わせて利息(=残高×金利)が減っているためです。
一方のアドオン方式では返済利息が一定のため、実質年率に較べて返済負担が重くなります。ちなみにアドオン金利10%は、12回の返済と仮定すると、実質金利(年率)で18%の金利と同じ程度の返済負担になります。
<関連記事>:キャッシング利息の計算方法は?解説します
現在は、実質金利の表示が法律で義務化
以上、アドオン方式と実質金利の比較を見てきました。アドオン金利は、返済の計算こそ分かりやすいですが、実質金利に較べて返済負担が重くなります。
繰り返しになりますが、アドオン方式は借り手からすると、かなり不利な利息の表示方式です。こうしたこともあり現在では、アドオン方式を適用するかに関係なく、実質金利の表示が法律で義務化されています。
<関連記事>:グレーゾーン金利とは?分かりやすく解説
以上、アドオン方式(アドオン金利)について見てきました。現在では利用されることが少なくなったアドオン方式ですが、見た目の分かりやすさとは別に、利用者への負担が重くなります。
アドオン方式が自分の知らない所で適用されているケースはまずありませんが、こうした利息の表示方式があることだけは、頭の片隅に入れておいて下さい。
この記事のまとめ |
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