返済が滞ってしまうと、催促や取り立てが来ることになります。返済の催促や取り立ては借入した会社だけでなく、利用した覚えのない会社から来ることもあります。
ところが、これを放置してしまう人も時々います。これらの催促を行っているのは「債権回収会社(サービサー)」と呼ばれる会社で、放置するのは非常に危険です。
連絡が来た時点で、正しく対応することが重要です。今回は、債権回収会社がどういう組織か、連絡が来た時の対策などを紹介します。
目次
債権回収会社(サービサー)とは?分かりやすく解説
債権回収会社(サービサー)って何?
債権回収会社とは、滞納している借金・税金の取り立てを代わりに行う会社のことで、「サービサー」とも呼ばれます。1999年2月に「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」が施行されて以来、貸出行った銀行や消費者金融に代わって、借主への取り立てを行っています。
設立・運営には、一定の条件がある
民間企業という位置付けにはなりますが、法務大臣の許可を得ている業務でもあり、サービサー法に則って取り立てを行っています。もともとは弁護士のみに許可されていた業務でしたが、バブル後に不良債権が処理が大量に発生したことにより、委託・譲渡できる債権回収会社が誕生しました。
なお、債権回収会社を名乗るために、いくつかの条件が設けられています。
債権回収会社の条件 |
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<関連外部サイト>:債権管理回収業に関する特別措置法の概要 | 法務省
債権回収会社の業務内容は?
債権回収会社の業務内容は、大きく言って2つです。
・債権の取り立て代行
金融機関や保証会社から債権の取り立てを委託されて、代わりに取り立てを行います。この時、金融機関等から手数料をもらい、これが債権回収会社の収益となります。
・譲渡された債権の取り立て
金融機関などから債権を買い取り、債務者に対して取り立てを行います。たとえば1000万円の債権を債権者から100万円で買い取るとします。
債務者に対しては、「本来なら1000万円を返済してほしいところだが、200万円返済してくれればチャラにする」と持ちかけます。債務者が200万円を返済してくれれば、サービサーは100万円儲けたことになります。
上手くいった場合は取り立て代行に較べて利益が大きいですが、自社で債権を購入しているため、その分リスクも負うことになります。
債権回収会社で取り扱う債権は、以下の通りです。
債権回収会社で取り扱う債権 |
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基本的には事業者向けの貸付債権を取り扱うことで収益を得ていますが、個人向けの銀行ローンやクレジットの債権も取り扱いが可能です。
<関連記事>:ファクタリングとは?分かりやすく解説
債権回収会社による取り立て手順
債権回収会社による取り立ては、一般的に以下のような手順を取ります。
1.電話による返済の催促
当然ですけど、いきなり訴訟を起こしたりしません。まずは電話や(法的効力のない)書面での催促です。
これで返済してもらえれば(債権回収会社にとっては)一番でしょうけど、そもそも回収が難しいからこそサービサーに回ってきた訳で、ここで解決するケースは少ないです。電話や書面での催促では回収が難しいと判断した場合、次の手続きに進みます。
2.内容証明郵便の送付
「内容証明郵便」とは、いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した書面によって日本郵便が証明する郵便のことです。実は内容証明郵便そのものには、法的な拘束力はありません。
ですが、これを送付することで時効の中断をすることができます。また債務者に対してプレッシャーを与える効果も、債権回収会社は狙っています。
3.裁判所に支払督促の申し立て
内容証明郵便でもラチがあかない場合、債権回収会社は法的な手続きに移行します。債権回収会社は簡易裁判所に、「支払督促」の申し立てを行います。
裁判所は申し立てを精査して、問題なければ支払督促を相手方(この場合は債務者)に送付します。相手方から2週間、異議申し立てがない場合は、債権者の申し立てにより「仮執行宣言」に移行します。
<関連外部サイト>:簡易裁判所の「支払督促」手続をご存じですか? | 政府広報オンライン
4.訴訟・強制執行
裁判所から相手方へ仮執行宣言付支払督促の送達後も返済がない場合、強制執行の手続きを行うことができます。これは文字通り、給与など財産の差し押さえができる制度で、極めて高い強制力があります。
<関連記事>:借金返済ができない場合、どこに相談すれば良い?
債権回収会社から連絡!どうやって対処する?
「債権回収会社なんて自分とは無関係」と思っている人が多いと思いますが、いざ連絡が来た際にはどのように対処するべきか困る人も多いはずです。ここでは、債権回収会社への正しい対応をみていきます。
サギ会社でないか確認すること
実際に借入をしていない人でも、突然債権回収会社から連絡が来たら驚いてしまい、記載されている金額を急いで振り込んでしまう人は少なくありません。実際に、こういった事象を狙った悪質な詐欺事件も多発しており、「有料アダルトサイト利用料金」や「民放指定消費料金」「医療費」などの名目で請求が来ます。
そのため、債権回収会社からの連絡が来た際には、まずは詐欺でないことを確認するようにしましょう。現在、法務省で債権回収業務が認められている主な会社は、下記となります。
債権回収会社一覧 | |
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日本債権回収株式会社 | 〒102-8503 東京都千代田区麹町五丁目2番地1 03-3222-0328 《法人番号 2010001070337》 |
アビリオ債権回収株式会社 | 〒100-0013 東京都千代田区霞が関三丁目8番1号 03-6858-4445 《法人番号 5010001132002》 |
SMBC債権回収株式会社 | 〒104-0045 東京都中央区築地三丁目16番9号 03-3544-6003 《法人番号 8010001063698》 |
オリックス債権回収株式会社 | 〒105-6135 東京都港区浜松町二丁目4番1号 03-3435-3280 《法人番号 2010401037563》 |
グローバル債権回収株式会社 | 〒105-0003 東京都港区西新橋二丁目8番6号 03-5510-2811 《法人番号 4010001114752》 |
【法務省公式サイト】:債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧
最初は督促状、電話での取り立て
債権回収会社からの連絡が詐欺かどうかを確認する場合、最初のコンタクト方法もしっかり確認したいところです。債権回収会社はサービサー法に基づいて回収業務を行うため、最初のコンタクトは電話か書面となります。
いきなり家に押しかけたり、メールで連絡してくることはまずありませんので、安易に受け入れないよう注意しましょう。
支払督促・訴訟の場合は専門家にすぐに相談を!
詐欺でないことが確認できたら、通知の内容をよく確認し正しい方法で対応をしていきます。債権回収会社からの連絡は、時効の中断を目的としている場合があり、分割での返済を認めないのが一般的です。
そのため、「返済したくてもできない」という場合も大いにあり得ます。しかし良い方法を考えている間に時間は過ぎていきますので、分割払いの交渉も含めて速やかに専門家へ相談するのが安心です。
返済が困難なら、債務整理も検討すること
どうしても借入の返済が困難であれば、債務整理も考えるとよいでしょう。債務整理とは、借金返済の法的な解決方法のことです。
具体的には自己破産や個人再生、任意整理といった方法があります。債務整理をすると新たな借り入れができなくなりますが、強制執行などで給与が差し押さえられる事態を避けることはできます。
返済の見込みが立たない人は、弁護士に債務整理の相談することをおススメします。
<関連記事>:消費者金融の債務整理で抑えておきたいこと
債権回収会社との取引、こんな点も注意
債権回収会社への対応を間違えると、後々まで苦労することになります。ここでは、債権回収会社との取引で気をつけるべき点を確認します。
強制執行もありうるので、絶対放置しないこと
債権回収会社から連絡があった場合は、とにかく早急に専門家へ相談することをおすすめします。債権回収会社というのは、債権回収が完了するまではいろいろな手段で取り立てを行いますから、決して逃げることはできません。
最悪の場合、強制執行になる可能性もあるので、絶対に放置はしないようにしましょう。
債権譲渡されると、ブラックリスト入り
借入先である金融機関・保証会社から債権回収会社へ、あなたの債権が譲渡されると、事故情報として信用情報機関に記録されることとなります。いわゆる、「ブラックリストに載る」と呼ばれる事態です。
ブラックリストに載ってしまうと、今後の(5年から10年)の新規の借入は一切できなくなります。消費者金融はもちろん、クレジットカード、信販会社、銀行などの一切の与信取引が利用できなくなります。
<関連記事>:金融事故情報(ブラックリスト)とは?
保証人の義務は残る
仮にあなたが債務整理をしても、その債務に対する返済義務は保証人や連帯保証人に残ります。金融機関から債権回収会社へ債権譲渡された場合でも、保証人・連帯保証人は返済義務を引き継ぐことになります。
保証人や連帯保証人は、債権回収会社から取り立てを受けることになり、保証人も債務整理に追い込まれる最悪のケースもありえます。多くの場合、保証人は親族・親友にお願いすることが多いため、あなたも心苦しい思いをするはずです。
保証人が付いた借り入れで債務整理をする場合は、こうしたリスクもよく考えて下さい。
<外部の関連サイト>:連帯保証人とは?保証人との違いを分かりやすく解説
以上、債権回収会社について見てきました。一般の人が債権回収会社と関わる機会は少ないかもしれませんが、いざ連絡が来たら放置が非常に危険なのは、上で見た通りです。
取り急ぎ専門家に相談し、返済計画を含めた対応策を検討するとよいでしょう。
この記事のまとめ |
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