銀行の「フリーローン」は、お金の使い道が原則自由という、便利な融資商品です。低い金利での借り入れができますが、申し込みに当たって注意すべき点もあります。
今回カードローンと比較しながら、フリーローンの特徴を見ていきます。また、おすすめの低金利フリーローンも紹介します。

この記事の監修者: FP 小山 英斗
未来が見えるね研究所・代表。CFP、1級FP技能士。保険の仕事を通じ多くの相談を受けながら、金融商品の提供をしない独立した立場でのFP相談業務を行いたいと思い、同研究所を設立。公式サイト
フリーローンとは?わかりやすく解説
ここではフリーローンについて、おさらいします。すでに分かってるという方は、読み飛ばしてください。おすすめのフリーローンを早く知りたい方は、「おすすめの低金利フリーローンを紹介します!」をクリックして下さい。
フリーローンとは使い道が原則自由なローン
フリーローンとは、銀行が提供する個人向けの融資サービスです。自動車ローンや教育ローンとは違い、借りたお金の使い道を、利用者が原則自由に決められます。
フリーローンの使い道となるのは、たとえば以下です。
フリーローンの使い道となる例 |
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この他にもまとまったお金が必要なときに、フリーローンを活用することができます。ただフリーローンはカードローンと同じく、事業目的での借入れは不可能です。
詳しくは、「フリーローンといっても、使い道が完全に自由ではない」で説明します。
またフリーローンには有担保型(=担保あり)と無担保型(=担保なし)があり、有担保型の方が低金利です。担保には、不動産が使われることが一般的です。
借入できる金額や期間の目安は、以下の通りです。
フリーローンの種類 | 金額 | 期間 |
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無担保型 | 10万円以上300万円以下 | 1年以上10年以内 |
有担保型 | 50万円以上1億円以内 | 1年以上30年以内 |
(注):三井住友銀行フリーローンの場合
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申し込みに必要な書類と申し込み条件
フリーローンを申し込む際には、いくつかの書類を準備する必要があります。銀行によって必要書類は異なりますが、主なものは以下です。
フリーローンの申し込みで必要な書類 |
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本人確認書類は、どの銀行でも必須です。運転免許証やパスポート、住民票、印鑑証明書などを用意しましょう。収入証明書や資金使途を証明できる書類は、必ず提出を求める銀行もあれば、借入金額によって提出が必要となる銀行もあります。
借入金額が50万円を超えると、収入証明書が必要とする銀行が多いです。資金使途を証明できる書類とは、見積書や契約書、請求書、価格が記載されているチラシやカタログなどを指します。
また有担保型のフリーローンを契約するときは、担保物件を確認できる書類として、不動産登記簿謄本などが必要となります。フリーローンを申し込む際の条件は、20歳以上で安定収入があり、保証会社の保証を受けられることが原則です。
そのため収入のない専業主婦(主夫)は、申し込みできません。
またアルバイトの収入があっても、学生が利用することは不可です。また勤続年数や年収の基準に満たさないと、借入れできない銀行もあります。
その他にも一部の地方銀行は、勤務地や居住地に制限を設けている場合があります。たとえば横浜銀行の場合、勤務地または居住地が、神奈川県または東京都、群馬県の一部地域であることが利用の条件となっています。
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フリーローンの金利はどれくらい?
フリーローンは同じ銀行でもいくつか種類があり、金利タイプや担保によって変わってきます。上でも説明したように、有担保型の方が無担保型より金利が低く、年率3%以下であることが多いです。
金利タイプは、「固定金利」と「変動金利」の2つに分けられます。固定金利の場合は、契約時に決められた金利が、返済完了時まで適用されます。
一方、変動金利の場合は年に何回か、金利の見直しが行われます。ここで大手銀行のフリーローンの金利を、いくつか紹介します。
銀行(商品名) | 担保 | 金利(年率) |
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三井住友銀行フリーローン |
有担保 有担保 無担保 |
変動・保証料外枠方式2.775% 変動・保証料内枠方式2.975% 変動5.975% |
みずほ銀行 多目的ローン |
無担保 無担保 |
固定6.5% 変動5.875% |
りそなプレミアムフリーローン りそなフリーローン |
無担保 有担保 |
固定 6.0~14.0% 変動 2.775% |
横浜銀行フリーローン | 無担保 | 固定 1.9~14.6% |
常陽フリーローン | 無担保 | 変動 3.975~11.95% |
ろうきんフリーローン |
無担保 無担保 |
固定 7.5% 変動 6.325% |
楽天銀行不動産担保ローン | 有担保 | 固定 2.79~9.39% |
以上の通り、無担保型では年率5~7%台のものが多いです。ただ借入額によっては、年率が10%を超えることもあります。
一方、有担保型は年率が3%以下になる場合もありますが、一部の銀行しか取り扱っていません。なお三菱UFJ銀行の多目的ローンは、2018年5月31日で、新規の申込受付が終了しています。
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融資までのスピードは?
申し込みから借入れまで、フリーローンの融資には1~2週間程度かかります。フリーローンで借入する場合、借入金額が50万円以上になると一般的に、収入証明書の提出が必要となります。
その他にも資金使途を証明する、見積書や契約書の提出を求められることもあります。最近では、ネットで契約手続きを完了できたりしますが、契約書を郵送で手続きする場合は、借入れまで1週間以上かかると思った方がいいでしょう。
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フリーローンの返済方式は?
フリーローンは資金を一括で借り、契約時に決めた金額を、毎月返済していきます。このように契約時に、借入金額や返済期間、返済方法を決め、契約書などを交わして行う契約を「証書貸付」と言います。
基本的に証書貸付では、1つの契約書につき1つの契約を交わします。そのためフリーローンでもう一度お金を借りたいときは、借入残高を全て返済してから、再度契約をしなければなりません。
これに対してカードローンでは、借入限度額を設定し、その範囲内であれば何度でも借入れできます。
<関連記事>:証書貸付とは?カードローンとは何が違うの?
フリーローンVSカードローン、何が違う?
フリーローンとカードローンは、借りたお金の使い道を自由に設定できる(事業資金は除く)という点で共通しています。ここからはフリーローンとカードローンの違いから、それぞれの特徴を解説します。
1.金利はフリーローンの方が低い傾向にある
上で説明したように、フリーローンの金利は有担保型で3%程度、無担保型で5~7%です。一方カードローンの金利は、銀行系で15%程度、消費者金融系だと18%程度となります。
銀行カードローン | 金利(実質年率) |
---|---|
三井住友銀行カードローン | 4.0~14.5% |
三菱UFJ銀行バンクイック | 1.8~14.6% |
みずほ銀行カードローン | 2.0~14.0% |
消費者金融 | 金利(実質年率) |
プロミス | 4.5~17.8% |
SMBCモビット | 3.0~18.0% |
アコム | 3.0~18.0% |
アイフル | 3.0~18.0% |
ただフリーローンもカードローンも、借りる金額によって金利が変わる場合があります。一般的にどちらも、借入金額が大きくなるにつれ金利は下がります。
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2.カードローンなら、何度でもこまめな借り入れが可能
カードローンの魅力は、一度審査に通れば、限度額の範囲内で何度でも借り入れできる点です。一方フリーローンは、一つの契約で、決まった金額を一括で借ります。
フリーローンの場合、もう一度融資を受けたいと思っても、返済が完了してから再び審査を受ける必要があります。そのため比較的少額を、何度か借入れしたいなら、カードローンがおすすめです。
ただし借入枠内なら何度でも借入れができるため、使い過ぎにならないよう注意しましょう。
逆にフリーローンは、一つの契約で大きな借入(100万を超える借入れ)をする場合に向いています。一回限りでまとまったお金が必要な方なら、フリーローンを選ぶと良いでしょう。
3.融資までのスピードは、カードローンが早い
融資までのスピードは、カードローンの方が早く、消費者金融なら最短即日で借入れすることができます。また銀行カードローンも、最短翌日での融資が可能です。
フリーローンの場合は、上でも説明したように申し込みから借入れまで、1~2週間程度かかります。カードローンの契約は基本的に、契約書や見積書の提出は不要ですが、フリーローンではそれらの書類の提出を求められることがあります。
フリーローンを利用するときは、時間に余裕を持って申し込みをすると良いでしょう。
4.カードローンの方が審査に通りやすい
フリーローンの方が一般的に、カードローンより金利が低いため、審査が厳しい傾向にあります。原則として学生や専業主婦(主夫)は、フリーローンを利用することはできません。
また銀行によっては、前年度の年収が200万円以上などの融資条件を設けている場合もあります。一方カードローンは、基準を満たせば学生でも申し込み可能です。
さらに一部の銀行カードローンでは、配偶者に安定した収入があれば、専業主婦でも利用可能です。
<関連記事>:カードローンの審査に通らない人の特徴
フリーローンを利用したい!注意すべきポイントは?
審査や手続きに時間がかかる
フリーローンの審査は、最低でも1週間程度かかります。融資される金額によっては、見積書の提示を求められます。
あらかじめ資金の使い道を決めてから、フリーローンを利用しましょう。またフリーローンを利用するには、融資を受ける銀行の口座を持っている必要があります。
新たに口座を開設する場合、借入れまでに2週間程度かかることもあるので、時間に余裕を持って申し込むのがおすすめです。
フリーローンといっても、使い道が完全に自由ではない
フリーローンといっても、資金使途に制限があり、その度合いは銀行によって異なります。上でも説明したように、事業資金としてフリーローンを利用することは、どの銀行でも不可能です。
以下は、メガバンク3社のフリーローンで、不可とする使い道です。
銀行(商品名) | 不可とする使い道 |
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三井住友銀行フリーローン |
・事業性資金 ・投機性資金 ・見積書や契約書等により確認できない資金 ・個人間の売買契約 ・お借入資金をお支払先に一括してお支払い いただけない資金(家賃・生活資金等) ・すでにお支払済の資金 ・当行または他金融機関からのお借り換え資金 |
みずほ銀行多目的ローン |
・事業性資金 ・有価証券投資資金 ・見積書や契約書等により確認できない資金 |
りそなプレミアムフリーローン | ・事業性資金 |
三井住友銀行やみずほ銀行では、使い道を確認できない資金や、投資資金としての利用も不可とされています。そのうえ三井住友銀行は、他社のローンの借り換え資金や生活資金としての利用もできません。
ただ横浜銀行や常陽銀行などでは、他社から借りているローンをフリーローンでまとめることも可能です。
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目的別ローンの方が、金利を抑えられる可能性がある
フリーローンの魅力は、カードローンよりも低い金利で融資を受けられることですが、住宅ローンや教育ローンといった目的別ローンの方が、金利はさらに低い傾向にあります。たとえば住宅ローンの金利は平均0.4~1.4%程度、教育ローンは平均1.8~4%程度です。
一方フリーローンは、高額な融資を受けたり、有担保型を選ぶと金利が2%程度になることはありますが、基本的に金利は6%以上になります。資金使途がハッキリ決まっている場合、フリーローンではなく目的別ローンを使えないか、一度検討してみましょう。
繰り上げ返済をすると、手数料が発生することもある
フリーローンは、返済額の一部や全額を繰り上げ返済することが可能です(一部の銀行では一括返済のみ可能)。繰り上げ返済をすると、返済期間が短くなるため、金利負担が軽減される利点があります。
ただ銀行によって繰り上げ返済時に、手数料が必要となります。たとえば手数料が5000円かかる場合、1万円多く上乗せで返済しても、実際の返済にあてられるのは5000円となり、繰り上げ返済するメリットはありません。
しかし銀行によっては、「ボーナス返済」を採用しているケースがあります。ボーナス返済とは、6カ月ごとのボーナス時に、増額して返済することを指します。
ボーナス返済を利用すれば、手数料なしで借入残高を減らすことが可能です。また前もってネットで繰り上げ返済を申請すれば、手数料を無料にできる銀行などもあります。
繰り上げ返済を検討する場合は、手数料の有無や金額もチェックしましょう。
<関連記事>:キャッシングの繰り上げ返済の注意点は?
おすすめの低金利フリーローンを紹介します!
ここまでフリーローンの特徴や、注意すべきポイントを見てきました。以下では、金利が低いおすすめのフリーローンを3つ紹介します。
三井住友銀行フリーローン
三井住友銀行のフリーローンは、数あるフリーローンの中でも、屈指の低金利です。利用にあたって、有担保型か無担保型かを選びます。
有担保型にした場合は、契約時に保証料32,400円を払う「保証料外枠方式」か、返済額に保証料が含まれる「保証料内枠方式」かを選択します。保証料を一括で払う、有担保型の保証料外枠方式が、あらゆるタイプの中で最も低金利となります。
担保 | 金利(年率) |
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有担保型 | 保証料外枠方式 変動 2.775% |
有担保型 | 保証料内枠方式 変動 2.975% |
無担保型 | 変動 5.975% |
全て変動金利型のため、1年に2回金利が見直されます。有担保型では、手持ちの不動産を担保にして最大1億円と、大きな金額の借入をすることもできます。
低金利で魅力の多い三井住友銀行のフリーローンですが、見積書(ないし契約書)の用意が必要だったり、他ローンの借り換えに使えないなど、デメリットもあります。
<外部の関連サイト>:フリーローン(無担保型) : 三井住友銀行
みずほ銀行多目的ローン
三井住友銀行よりも金利が少し高いですが、メガバンクならではの安心感があるのが、みずほ銀行のフリーローンです。最長7年最大300万円の借入ができる無担保型ローンで、変動金利型と固定金利型の2種類から選択できます。
担保 | 金利(年率) |
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無担保型 | 変動 5.875% |
無担保型 | 固定 6.5% |
変動金利の方が固定金利より金利が低い傾向ですが、変動金利は毎年4/1と10/1に金利の見直しがあります。ただし利用するには、勤続年数2年以上で、前年度税込み年収200万円以上である必要があります。
またフリーローンの資金使途である見積書(契約書)の提出が必須なのも、やや使いづらい点です。
<外部の関連サイト>:多目的ローン | みずほ銀行
りそな銀行プレミアムフリーローン・りそなフリーローン
りそな銀行も三井住友銀行と同様、無担保型と有担保型のフリーローンがあります。
担保 | 金利(年率) |
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無担保型 | 固定 6.0%・9.0%・12.0%・14.0% |
有担保型 | 変動 2.775% |
無担保型だと、6.0%・9.0%・12.0%・14.0%の4種類の固定金利で、審査によって適用金利が決定します。有担保型の場合、変動金利タイプとなり、年に2回見直しが行われます。
無担保型のフリーローンでは、方法によって返済時期や金額に制限はありますが、手数料なしで繰り上げ返済をすることが可能です。有担保型でも、店頭で一部の返済額を繰り上げ返済する場合は、手数料が必要ですが、インターネットで手続きをすれば手数料はかかりません。
ただし全額を繰り上げ返済したい場合は、店頭受付のみで、10,800円の手数料が必要です。
<外部の関連サイト>:フリーローン|りそな銀行・埼玉りそな銀行
以上、フリーローンの特徴や、おすすめのフリーローンについて見てきました。フリーローンもカードローンも個人向けのローン商品ですが、その性格が大きく違うのは上で見た通りです。
フリーローンを利用する際は、各銀行の金利や申し込み条件をチェックするようにしましょう。
この記事のまとめ |
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<監修者のコメント>
お金を借りる時の原則は低い金利で借りることです。記事にもあったようにフリーローンよりは、目的別ローンの方が金利の低い可能性があります。
お金の使い道がはっきりしている場合は、まずはその目的にあった目的別ローンを扱う銀行がないか探してみましょう。また変動金利型は固定金利型より通常金利が低いですが、借入期間が長期になる場合は金利が上がるリスクも考えて、金利タイプも選択するようにしましょう。