手軽に借入できる方法として一般的なのが、カードローンやクレジットカードです。これらは「カードを使ってお金を借りる」という点で共通していますが、特徴は全く違います。
どうせ利用するなら、少しでもお得に利用したいところです。今回はカードローンの中で最もよく使われる消費者金融と、クレジットカードの違いについて解説します。
目次
消費者金融とクレジットカードは目的が違う
利用者はどんな目的でお金を借りる?
一般的に利用者がお金を借りるのは、どんな場面でしょうか?全国銀行協会の調査によると、キャッシングの理由の1位は「日常的な生活費の支出増加を補うため」でした。
2位には「レジャー・趣味・娯楽を楽しむため」という理由が続きました。
<出典>:銀行カードローンに関する消費者意識調査 調査結果|全国銀行協会
利用者の多くは少額を一時的に借りたい人が大半で、長期間の借入を目的としている人はいません。今回の記事で取り上げる消費者金融とクレジットカードは、まさに気軽に短期間だけお金を借りたい時に便利な手段です。
<関連記事>:消費者金融とは?分かりやすく解説!
消費者金融は「借入」
消費者金融は個人向けの融資に特化しており、融資形態はカードローンであることが一般的です。消費者金融の審査に通れば、無担保(・保証人なし)で、融資を受けられます。
消費者金融でも扱うカードローンは、一般的なローン商品とは異なる特徴があります。たとえば住宅ローンの場合、1回の契約で決まった金額を一度だけ借りられ、時間を掛けて返済をしていきます。
追加のお金が必要になったときは、もう一度審査を受ける必要があります。こうした融資形態は、「証書貸付」と呼ばれます。
それに対して消費者金融では「極度借入基本契約」と呼ばれる契約を結ぶことになり、契約額(借入枠)の枠内なら何度でも借入が可能です。
<関連記事>:極度借入額とは?利用限度額との違いを解説
なお消費者金融のほかに、銀行もカードローンを扱っています。消費者金融カードローンの特徴は審査スピードがとても早く、即日融資に対応しています。
一方の銀行カードローンは、即日融資は不可ですが、消費者金融よりも金利が低いのが特徴です。
<関連記事>:カードローンとは?わかりやすく解説
クレジットカードは「後払い」
クレジットカードには、2つの利用目的があります。一つ目はクレジットカードのメイン機能である、ショッピング代金の立て替え(後払い)です。
利用者が買い物をする際、商品代金をクレジットカード会社に立て替えてもらう仕組みになっています。クレジットカードのもう一つの機能が、キャッシング(借入)です。
クレジットカードも消費者金融も、無担保(・保証人なし)で借入れできる点では同じです。ただし消費者金融とは、限度額(=契約額・借入枠)の扱いが異なります。
クレジットカードの場合、限度額の全額をショッピング枠として利用可能です。そのショッピング枠に含まれる形で、キャッシング枠が設定されます。ただしキャッシング枠は少額になるケースが多く、10~50万円が相場です。
またクレジットカードは、キャッシング枠の利用がカードローンと全く違います。
上の図の通り、限度額が50万円、ショッピング枠が50万円、キャッシング枠が30万円であるとします。ここでショッピング枠50万円の内40万円を使った場合、限度額の余力は10万円になります。
一方でキャッシング枠が未使用なら、30万円を全額借りられると考える人もいるかもしれません。ですがショッピング枠とキャッシング枠の合計は、クレジットカードの限度額の範囲内であることが必要です。
上の例なら限度額の余力は10万円のため、キャッシング枠で借入できる金額は最大でも10万円ということになります。このようにクレジットカードでのキャッシングは、使い勝手が良いとはいえず、ショッピングのおまけ機能と考えた方がよいかもしれません。
<関連記事>:クレジットカードの現金化ってヤバイ?詳しく解説!
消費者金融とクレジットカード、申込条件や法律の違いは?
消費者金融の申込条件は?
消費者金融を申し込むには、「20歳以上であること」・「安定した収入があること」の2つを満たす必要があります。正社員の方が審査に有利ですが、パートや派遣社員、学生でも週3日以上の仕事をして安定収入があれば、審査に通過する(借入できる)可能性はあります。
一方で自身の収入がない専業主婦や無職の方は、消費者金融の審査に通りません。また安定収入がない、単発バイトや短期派遣の方も審査に通らない可能性が高いです。
<関連記事>:消費者金融の審査に通らない?知っておきたい審査基準
クレジットカードの申込条件は?
クレジットカードを申し込みには、以下の条件を満たす必要があります。
・18歳以上であること(高校生は不可)
・安定した収入があること
クレジットカードはカードローンとは違い、18歳から作ることができます。ただし18歳であったとしても、カード会社の規約により高校生はクレジットカードを申し込めません。
またキャッシング枠をつけられるのは、20歳以上で安定した収入がある人に限定される場合がほとんどです。クレジットカードでは、ショッピング枠とキャッシング枠の審査基準が異なります。
一般的にキャッシング枠の審査の方が、厳しい傾向にあります。
<関連記事>:クレジットカードの審査期間は?分かりやすく解説!
消費者金融に適用される法律と利用条件
消費者金融に関係する法律は、以下の2つです。
・貸金業法(貸金業者を規制する法律)
・利息制限法・出資法(金利に関する法律)
貸金業法は貸金業者を規制する法律で、消費者金融・クレジットカード会社・信販会社などを規制しています(銀行は、銀行法が規制を受けます)。貸金業法の中で、利用者にとって特に影響が大きいのが「総量規制」です。
総量規制とは、利用者の借入合計を年収の3分の1までに制限する規制です。総量規制における借入とは、貸金業者からの全ての借入を指すので、他社借入が多いとその分だけ追加の借入可能額は少なくなります。
<関連記事>:貸金業法とは?分かりやすく解説!
一方の利息制限法と出資法は、上限金利を規定する法律です。利息制限法の上限金利は借入額によって異なり、借入額が10万円未満で20%、10万円以上で18%、100万円以上で15%となっています。
これに違反した貸金業者は、貸金業法により行政処分を受けます。出資法の上限金利は、20%と定められています。
20%を超える金利を貸した場合、貸金業者に刑事罰が科されます。この2つの法律に基づき、多くの消費者金融では上限金利が18%程度に設定されています。
<関連記事>:利息制限法とは?上限金利など分かりやすく解説
クレジットカードに適用される法律と利用条件
クレジットカードに関連する法律は、以下の3つです。
クレジットカードに関する法律 |
---|
|
消費者金融と同じく、クレジットカードのキャッシング利用も貸金業法の規制対象です。このためクレカのキャッシングも総量規制の対象となり、借入額は年収の1/3までとなります。
一方、クレジットカードのショッピング利用には、「割賦販売法」が適用されます。割賦販売法でも、カードの使いすぎを防止するため、年収や利用状況に応じた限度額を設定することを義務付けています。利用可能枠の平均は、10~50万円程度です。
<外部の関連サイト>:割賦販売法(METI/経済産業省)
キャッシング金利については消費者金融と同じく、利息制限法・出資法が適用されます。カード会社によって多少の違いはありますが、キャッシングの上限金利は18%程度です。
ショッピング利用のリボ払いの場合も、金利手数料が発生します。一般的な手数料は年率で、15%程度です。
<関連記事>:クレジットカードの仕組みとは?メリット・デメリットを解説
消費者金融VSクレジットカード、比較のための5つのポイント
1.金利が低くなるか?
消費者金融の金利は、契約額(借入枠)に応じて変わります。例として、アコムの借入限度額と適用金利を見てみましょう。
借入限度額(借入枠) | 適用金利(年率) |
---|---|
1万円~99万円 | 7.7%~18.0% |
100万円~300万円 | 7.7%~15.0% |
301万円~500万円 | 4.7%~7.7% |
501万円~800万円 | 3.0%~4.7% |
表から分かる通り、消費者金融や銀行カードローンは契約額(借入枠)が大きくなるほど、適用金利は低くなります。それに対してクレジットカードのキャッシングの場合、キャッシング枠に応じた金利の変動はありません。
借入枠に関わらず、クレジットカードのキャッシング金利は15~18%でほぼ固定です。さらに一部の消費者金融には、初回借入につき一定期間だけ利息ゼロになる、無利息サービスがあります。
活用できれば利息負担が少なくなるので、消費者金融の方がお得に借入可能です。
<関連記事>:消費者金融の金利相場は?金利はどうやって決まるの?
2.利用枠はどれくらい?
消費者金融の最大の借入限度額は、500万円から800万円ほどです。審査に通りさえすれば、200万円でも300万円でも借入可能です。
一方でクレジットカードのキャッシング枠は、限度額からショッピング枠を引いた残りなので、消費者金融と比べると少額となります。一般的に5~100万円(一部200万円も)の間でキャッシング枠の設定が可能ですが、実際には50万円以内に落ち着くケースが多いです。
以下の表で、消費者金融とクレジットカード各社の最大限度額をまとめました。
(最大)借入限度額 | |
---|---|
アコム | 800万円 |
800万円 | |
プロミス | 500万円 |
楽天カード | 100万円 |
JCBカード | 100万円 |
ライフカード | 200万円 |
3.申込からキャッシングまでのスピードは?
消費者金融の最大の魅力は、申込からキャッシングまでのスピードです。最短30分で審査が完了し、申し込みから最短1時間での融資も可能です。
クレジットカードの場合は、申込からカードを受け取り、キャッシングできるまでに4日から1週間ほどかかります。クレジットカードのキャッシング審査はショッピング審査とは別にあるので、さらに日数が伸びる恐れもあります。
会社によって審査期間の違いはありますが、今すぐお金が必要なときには、クレジットカードはオススメできません。
4.返済方法は分割?一括?
借入(利用)した金額の返済方式でも、消費者金融とクレジットカードで違いがあります。消費者金融は、借入残高に応じた一定額を毎月返済する方式を採用しています。
返済額が毎月一定のため、管理しやすいという利点があります。
一方、クレジットカードでのキャッシングの場合、利用額分を翌月に一括返済するのが基本です。ショッピング枠も利用した場合は、その分も含め返済する必要があります。
しかし最近では、リボ払いのような分割での返済に対応したクレジットカードが増えており、消費者金融との差は小さくなっています。消費者金融でもクレジットカードでも、返済に余裕があれば、あとから繰り上げ返済することも可能です。
<関連記事>:リボ払いはヤバイ?クレジットカードを賢く使うコツを解説!
5.海外での利用について
消費者金融は、海外での利用はできません。それに対してクレジットカードなら、海外でもキャッシングが可能です。
海外のATMから、24時間いつでも現地通貨を引き出すことができます。もちろん利息は発生しますが、空港などで両替する際に発生する手数料よりも、お得になるケースがあります。
消費者金融VSクレジットカード、どちらがおすすめ?
今すぐにお金を借りたいなら消費者金融
消費者金融カードローンの最大のメリットは、融資までのスピードの早さです。冠婚葬祭などで急にお金が必要となったときなど、今すぐ借りたい場合に消費者金融は適しています。
<関連記事>:消費者金融のおすすめランキング!
最近では、ローンカードがいらないネット完結の借入に対応している会社も多く、利便性はさらに高まっています。ただし当日に借入を希望するなら、申し込み時間に注意しましょう。
21時など夜遅くの申し込みだと、翌日の審査に回されます。基本的に融資スピード重視なら消費者金融ですが、既にクレジットカードにキャッシング枠がついている場合は、特別な手続きなしに即座に借入できます。
少しでも低い金利で借りたいなら消費者金融
消費者金融もクレジットカードも、上限金利に大差はありません。ですが消費者金融は契約額を増やすと金利が下がるので、少しでも低い金利で借りたいなら消費者金融を利用しましょう。
さらに消費者金融には無利息サービスがあるので、初回利用なら利息負担を減らせます。
<関連記事>:無利息期間のあるカードローンの選び方
買い物がメインならクレジットカード
買い物メインで利用するなら、クレジットカードがオススメです。買い物に応じてポイントが貯まり、ポイントを利用して商品を購入することも可能です。
こうしたポイントを溜める活動は「ポイ活」と呼ばれ、主婦を中心に人気を集めています。また一括払いなら、利息・手数料ゼロで利用できる点も魅力です。
<関連記事>:【2020年版】お金を入手するために出来ることを全部紹介!
消費者金融とクレジットカードの違いをまとめてみた!
最後に消費者金融とクレジットカードの違いを、下の表にまとめました。どちらを利用するか迷ったときには、ぜひ参考にしてみてください。
消費者金融 | クレジットカード | |
---|---|---|
借入限度額 | 10万円~800万円程度 | 5万円~200万円程度 |
金利 | 年率5.0%~18.0% (無利息サービスあり) |
年率15%~18%で固定 |
返済方式 | 分割払い | 翌月一括払い(リボ・分割払いも) |
返済方法 | 口座引落し、振込み、ATM | 口座引落し(原則) |
海外利用 付帯サービス |
× | 〇 |
海外利用 付帯サービス |
× | 〇 |
おすすめの使い方 | 急ぎの借入、短期の借入 | 買い物(後払い) |
ここまで、消費者金融とクレジットカードの違いについて解説しました。見てきた通り、2つにはそれぞれ異なる特徴があります。
自分が重視したいポイントに応じて、使いやすい方を選ぶと良いでしょう。
この記事のまとめ |
---|
|