カードローンについて調べてみると、「実質年率」という言葉をよく目にしますよね。「実質」とは、どのような意味なのでしょうか?
また実質年率は、「金利」や「利息」とは何が違うのでしょうか?今回は、「実質年率」の意味や金利・利息との違いについて、分かりやすく解説します。
目次
実質年率とは?
そもそも金利・利息って何?
実質年率について説明する前に、まずは金利・利息の基本を確認しましょう。金利とは、お金を借りるために支払うレンタル料のことです。
一般的には、借入金額に対するレンタル料の割合を、「金利〇%」と表現します。それに対して利息とは、レンタル料の金額そのものです。
借主は貸主に対して、借金の返済時に、借りた日数分の利息を支払う必要があります。
<関連記事>:カードローンで30万・50万円借りたら利息はいくら?
「実質年率=金利・利息」でない!
実質年率は、金利・利息とは異なる意味で使われる言葉です。借り入れに対してかかる利息に、事務手数料や融資取扱手数料、保証料などの諸費用を含めて、一年当たりの利率に換算することで、実質年率は求められます。
つまり(乱暴な言い方をすると)実質年率とは、通常の金利に手数料など加えた利率のことです。仮に金利が10%で、その他手数料の合計が2%とすると、実質年率は12%ということになります。
なお実質年率を使って返済額を計算する方法は、「実質年率方式」と呼ばれています。
<関連記事>:消費者金融の金利はどのくらい?
実質年率には上限がある!
カードローン金利(=実質年率)には上限があり、「利息制限法」と「出資法」の2つの法律で規定されています。以下、それぞれ詳しく見ていきましょう。
<利息制限法>
利息制限法とは、銀行や貸金業者、個人など、お金の貸し借りを行う場面について、利息を制限する法律です。金利の上限は借入金額に応じて、以下のように定められています。
借入額 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 20% |
10万円以上100万円未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
利息制限法に違反した金利での借り入れは、すべて無効になります。カードローンなど貸金業者からの借り入れの場合、利息制限法に違反した業者は、営業停止などの行政処分の対象です。
<外部の関連サイト>:利息制限法 – e-Gov法令検索
<出資法>
出資法とは、正式名称「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」で、金利などを取り締まる法律です。定められたカードローンの上限金利は、借入金額に関係なく、一律で20%です。
なお出資法には、罰則も規定されています。出資法の規定を超える高金利で貸し出しを行った場合、貸金業者は刑事罰の対象になります。
<外部の関連サイト>:出資法解説 – 兵庫県弁護士会
以上の規定は、カードローン金利だけでなく、あらゆる融資の金利に適用されます。実質年率も金利の一種なので、当然あてはまります。
つまり、実質年率の上限金利も20%ということになります。
<関連記事>:利息制限法とは?その上限金利は?
実質年率以外の計算方法は?
返済額を求める方法として、実質年率方式のほかに、「アドオン方式」があります。アドオン方式とは、当初の借入金額を、返済終了までの元本として計算する方法です。
<関連記事>:アドオン方式とは?分かりやすく解説
借入金額に金利(=アドオン率)を掛けて利息を求めて、その利息と借入金額を合わせた総額を返済回数で割ることで、1回あたりの返済額を算出します。
ここで実際に、毎月返済額を求めてみましょう。例として、30万円を金利18.0%で借りて、24回分割で返済したケースを見て行きます。
詳しくは後ほど説明しますが、アドオン方式は、実質年率方式に比べて計算がとても簡単です。しかし最初の借入金額で返済終了まで計算するので、実際に支払う金額は、実質年率方式よりも高くなるというデメリットがあります。
なおアドオン方式で計算されるのは、クレジットカードの分割払いや自動車ローンなど、一部のケースのみです。カードローンの場合、アドオン方式ではなく実質年率方式が採用されています。
アドオン方式を採用している場合でも、実質年率を併せて記載する決まりになっています。
実質年率、知っておきたいポイントは?
ここまで、実質年率のキホンを確認してきました。では実質年率方式のローンを利用するとき、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?
実際には、ほぼ「実質年率=金利」
実質年率は、融資取扱手数料や保証料を含む点で、金利・利息とは意味が異なります。しかし実際のところ、ほとんどのカードローン会社では、融資取扱手数料や保証料は無料です。
そのため「実質年率」という言葉は、一般的に、カードローン金利とほぼ同じ意味で使われていると考えて問題ありません。
実質年率はどんな場面で使われる?
実質年率方式は、通常の利息の他に、遅延損害金の計算でも利用されます。遅延損害金とは、カードローンやクレジットカードのキャッシングなど、ローンの返済遅れに対する「ペナルティ料金」です。
返済遅れが発生すると、遅れた日数分の遅延損害金を、通常の返済額に上乗せして支払う事になります。遅延損害金は「遅延利息」とも呼ばれ、その利率は「遅延損害利率」と表現されます。
<関連記事>:遅延損害金とは?分かりやすく解説!
実質年率方式のメリットは?
実質年率方式を採用するメリットは、月々の利息の負担を抑えられる点です。アドオン方式が、最初の借入金額を基準とするのに対し、実質年率方式は、その時点での借入残高を基準にして、計算します。
つまり実質年率方式なら、返済回数が進むごとに、支払う利息の金額が小さくなると言えます。
デメリットは計算が複雑になること
実質年率方式のデメリットは、何と言っても計算が複雑になる点です。トータルの返済額を実質年率方式で求めるには、残高が減っていくごとに、改めて計算しなおす必要があります。
とは言えカードローンの利用にあたっては、前もってトータルの支払額を把握し、きちんと返済計画を立てておきたいところです。
<関連記事>:キャッシング金利について知っておきたい事
実質年率と利息、どうやって計算するの?
実質年率方式の場合、どのように利息を計算しているのでしょうか?以下、実質年率を使って利息額を計算する方法について、解説します。
実質年率から利息を計算する方法は?
上にも書いた通り、実質年率方式では、借入残高が減れば利息の負担も軽くなります。では具体的に利息の金額は、実質年率を使ってどのように計算されるのでしょうか?
毎月の利息は、以下の計算式で求めることが出来ます。
たとえば30万円を実質年率18.0%で借りた場合、1カ月目の利息は以下のように計算できます。
カードローンの返済では、上記のような計算を毎月行うことで、利息の金額が確定します。
金利の代わりに遅延損害利率を使って、遅延した日数で計算しましょう。
実際に利息を計算してみよう!
カードローンでお金を借りた場合、トータルの利息はどれ位の金額になるのでしょうか?30万円を借りたと仮定して、完済までの返済計画をシミュレーションしてみましょう。
<30万円を借りた場合>
・借入額:30万円
・金利:18.0%
・毎月返済額:11,000円
返済回数 | 返済額 | 借入残高 | |
---|---|---|---|
内 利息額 | |||
1か月 | 11,000円 | 4,500円 | 293,500円 |
6か月 (半年) |
11,000円 | 3,997円 | 259,506円 |
12か月 (1年) |
11,000円 | 3,343円 | 215,226円 |
18か月 (1年半) |
11,000円 | 2,627円 | 166,809円 |
24か月 (2年) |
11,000円 | 1,845円 | 113,868円 |
30か月 (2年半) |
11,000円 | 989円 | 55,980円 |
35か月 | 11,000円 | 216円 | 3,629円 |
36か月 (最終回) |
3,683円 | 54円 | 0円 |
累計 | 388,683円 | 88,683円 | – |
上の表からも分かる通り、借入残高が減るごとに利息の金額は小さくなり、最終回には支払額のほとんどが元金に充てられます。繰り上げ返済を行えば、残高が減るペースが早まるので、更に利息の負担を軽くすることも可能です。
以上、実質年率の意味や金利・利息との違いについて、解説しました。実質年率方式は計算方法が複雑であるため、自分でトータルの支払額を求めるのは難しいでしょう。
しかし、基本的な仕組みや計算式を覚えておけば、大まかな金額が分かるので、スムーズな返済に役立ちます。借金の返済で苦しむことがないよう、今回の内容を参考にして、無理のない返済計画を立てましょう。
この記事のまとめ |
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