キャッシングをする際に、誰しも「お得に借りたい」と思うはずです。
お得に借りようと思うなら、まずは金利に着目することが大切です。
とはいえ金利がどうやって決まるのか、金融会社の好き勝手に金利が設定できないか、金利を下げる方法はないか等、知らない人も多いはずです。
金利の仕組みについて理解すれば、賢くキャッシングを活用できるようになります。
ここではキャッシングの金利について、基本事項を解説します。
キャッシングの金利とは?
そもそも金利って何?
金利とは、お金を借りるために支払うレンタル料の割合ことです。
一般的には、借入金額に対するレンタル料の割合を、「金利〇〇%」と表現します。
金利と似た言葉に、利息や「実質年率」があります。
利息とは、レンタル料の金額そのものです。
借主は貸主に対して、借入の返済時に、借入した金額と日数に応じた利息を支払う必要があります。
一方の実質年率とは、利息に事務手数料や融資取引手数料、保証料などの諸費用を加えて、一年当たりの利率に換算することで算出される金利水準を指します。
つまり実質年率とは、通常金利に手数料などを加えた利率のことです。
仮に金利が10%で、その他手数料の合計が2%とすると、実質年率は12%ということになります。
現在では金融機関や貸金業者は、この実質年率での金利表示が義務付けられています。
<関連記事>:実質年率とは?金利と何が違うの?
ここでのポイント! |
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金利の上限は法律で規定されている
キャッシングの上限金利は、「出資法」と「利息制限法」という2つの法律で決められています。
<出資法>
出資法は、出資や金利を取り締まる法律です。
貸金業者から借りる場合、借入金額に関係なく、上限金利は一律20%と定めています。
2010年の法改正によって、上限金利は29.2%から20.0%に引き下げられました。
20%を超える貸付を行った業者は、刑事罰の対象となります。
つまりキャッシングの金利は、どんなに高くても20%を超えることはありません。
<関連記事>:出資法とは?わかりやすく解説します!
<利息制限法>
利息制限法とは、お金の貸し借りで発生する利息を制限する法律です。
以下の通り、借入額に応じて上限金利が定められています。
借入額 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 20% |
10万円以上100万円未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
利息制限法そのものに罰則規定はありませんが、違反した貸金業者は貸金業法により行政処分を受け、超過した金利分の取引は無効になります。
<関連記事>:利息制限法とは?上限金利など分かりやすく解説
キャッシングの上限金利は引き下げられた
実は以前から利息制限法には、罰則規定がありませんでした。
このため以前は、利息制限法を超える金利での貸出が、当たり前のように行われてました。
特に利息制限法の上限金利(20%)と、以前の出資法の上限である29.2%の間の金利帯は「グレーゾーン金利」と呼ばれました。
先にも説明した通り、以前はグレーゾーン金利の上限での貸出が当たり前に行われており、借主は大きな返済負担に苦しめられました。
ところが2006年1月の最高裁判決で、グレーゾーン金利が違法とされたことで風向きが変わりました。
さらに多重債務の温床になるとの批判が相次いだことで、次第に法改正の動きが高まりました。
そして2010年の改正貸金業法で、利息制限法の違反した業者に行政処分を下す規定が追加されました。
またグレーゾーン金利は正式に廃止となりました。
<関連記事>:グレーゾーン金利とは?分かりやすく解説
金利相場はどのくらい?
キャッシングの主流である、銀行カードローンと消費者金融で金利を比較してみましょう。
銀行カードローン | 金利(実質年率) |
---|---|
三井住友銀行カードローン | 4.0%~14.5% |
三菱UFJ銀行 バンクイック | 1.8%~14.6% |
みずほ銀行カードローン | 2.0%~14.0% |
消費者金融 | 金利(実質年率) |
プロミス | 4.5%~17.8% |
SMBCモビット | 3.0%~18.0% |
アコム | 3.0%~18.0% |
アイフル | 3.0%~18.0% |
金利相場は、銀行カードローンが年率2.0~15.0%が相場なのに対し、消費者金融は年率3.0~18.0%が相場です。
金利の低さで言えば、銀行カードローンの方がお得だと言えます。
ただし消費者金融なら即日融資が可能だったり、使い勝手は銀行カードローンより圧倒的に上です。
消費者金融と銀行カードローンのどちらを選ぶかは、何を重視するかで違ってきます。
キャッシングの適用金利は、どうやって決まる?
キャッシングの金利は、「年率3.0~18.0%」というように、上限と下限で幅があります。
できれば、少しでも低い金利で借りたいと思う人も多いと思います。
ですが実際にどの金利が適用されるかは、借入枠(=契約額)によって決まります。
たとえばアコムは、適用金利について以下のように定めています。
借入枠(契約額) | 金利(年率) |
---|---|
1万円 ~ 99万円 | 7.7% ~ 18.0% |
100万円 ~ 300万円 | 7.7% ~ 15.0% |
301万円 ~ 500万円 | 4.7% ~ 7.7% |
501万円 ~ 800万円 | 3.0% ~ 4.7% |
表からわかるように、借入枠が大きくなるほど適用金利が低くなりますす。
こうした傾向はアコムだけでなく、他の消費者金融・銀行カードローンにも共通しています。
ここで注意すべきは、適用金利に関わってくるのは借入枠であって、実際の借入額ではないという点です。
つまり同じ金額を借入したとしても、借入枠の大きさによって金利が変わるということです。
なお初回利用の際は、借入枠が小さめに設定されるため、その会社の上限金利が適用されるケースが多いです。
<関連記事>:消費者金融の金利相場は?金利はどうやって決まるの?
遅延損害金には要注意
「遅延損害金」とは、返済が遅れた時に、通常利息に加えて支払う追加利息のことです。
予定の返済日を1日でも過ぎた時点で発生し、遅れた日数分だけ遅延損害金を支払います。
遅延損害金の金利は各社で異なりますが、消費者金融は年率20%、銀行カードローンは年率で15~20%弱です。
ペナルティ(=罰則)という性質上、通常金利よりもやや高めに設定されています。
<関連記事>:遅延損害金とは?分かりやすく解説!
キャッシング利息の計算方法は?
上ではキャッシング金利の基本について、見てきました。
ですが実際の返済負担となるのは利息であり、金利以外の要因によっても変わってきます。
ここでは、キャッシング利息の計算方法について解説します。
利息の計算方法は?
カードローンの利息は、「借入金額」「適用金利」「借入日数」の3つの要素で計算します。
この3要素のどれか1つでも大きくなると、利息の金額も高くなります。
1か月のキャッシング利息の、大まかな計算方法は以下の通りです。
たとえば20万円を金利18%で1ヶ月借りた場合、利息の金額は、以下のように求められます。
これが利息計算の基本的な考え方です。
<関連記事>:キャッシング利息の計算方法は?
利息の表示方式は2タイプある
利息の表示方式には、「実質年率方式」と「アドオン方式」の2種類あります。
<実質年率方式>
借入残高に応じて、返済利息が決まります。
借入残高は毎月変動する分、計算式が複雑になりますが、現在の利息の表示方式としては、こちらが主流です。
また実質年率方式は利息の表示方式を指しますが、これを用いた返済方式を「残高スライドリボルビング方式」と言います。
カードローンの返済で残高スライドリボルビング方式とあった場合、実質年率方式を使って利息計算をすることを意味します。
<関連記事>:残高スライド元利定額返済方式とは?
<アドオン方式>
借入額に対して、最初に返済利息の総額が決まります。
借入額は固定なので、計算式が分かりやすいという特徴がありますが、現在はクレジットカードの分割払い以外では見かけない表示方式です。
言葉にすると上記のようになりますが、少しイメージしにくいかと思います。
実質年率方式とアドオン方式の違いは、以下で述べる返済シミュレーションで比べると、よくわかります。
<関連記事>:アドオン方式とは?分かりやすく解説
毎月の利息はその度に計算される
利息は月ごとに計算されます。
まずは以下の条件で、実質年率方式の返済シミュレーションを行います。
<実質年率方式: 条件>
・借入(元本):12万円
・実質金利:10%
・返済回数:12回払い
返済回数 | 毎月返済額 | うち元金返済 | うち利息返済 |
---|---|---|---|
1 | 10,549 | 9,549 | 1,000 |
2 | 10,549 | 9,629 | 920 |
3 | 10,549 | 9,709 | 840 |
4 | 10,549 | 9,790 | 759 |
5 | 10,549 | 9,872 | 677 |
6 | 10,549 | 9,954 | 595 |
7 | 10,549 | 10,037 | 512 |
8 | 10,549 | 10,121 | 428 |
9 | 10,549 | 10,205 | 344 |
10 | 10,549 | 10,290 | 259 |
11 | 10,549 | 10,376 | 173 |
12 | 10,555 | 10,468 | 87 |
累計 | 126,594 | 120,000 | 6,594 |
毎月の返済額そのものは変わりませんが、利息分の返済が次第に減っているのが分かります。
これは返済が進むごとに借入残高が減り、それに伴って利息(残高×金利)が減っているためです。
利息が減っている分、返済額に占める元本返済分の割合は次第に増えています。
次にアドオン方式による返済シミュレーションを見てみます。
<アドオン方式: 条件>
・借入(元本):12万円
・アドオン金利:10%
・返済回数:12回払い
返済回数 | 毎月返済額 | うち元本返済 | うち返済利息 |
---|---|---|---|
1 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
2 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
3 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
4 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
5 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
6 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
7 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
8 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
9 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
10 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
11 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
12 | 11,000 | 10,000 | 1,000 |
累計 | 132,000 | 120,000 | 12,000 |
表からわかるように、毎月の返済額、元本返済、返済利息がどれも同じで分かりやすいです。
ですが実質年率方式と比べて、利息の総額が約2倍になっています。
分かりやすいものの、借り手にとっては不利な利息の表示方式です。
こうしたことから、現在はアドオン方式を適用するかに関係なく、実質金利の表示が法律で義務化されています。
ここまでキャッシングの金利の仕組みや、利息の計算方法について見てきました。
より詳しく知りたい人は、関連する以下の記事をチェックしてみてください。
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キャッシングの金利はどうしたら下がる?
金利は低いほど、借り手にとって有利なことは間違いありません。
ここでは、キャッシング金利を下げる方法について見ていきます。
低金利の銀行カードローンを選ぶ
上でも見たように、消費者金融と較べて銀行カードローンの金利は、やや低めに設定されています。
上限金利は年率15%程度と、消費者金融より3%ほど低いです。
ただし一口に銀行カードローンといっても、銀行によって金利水準は違います。
たとえばオリックス銀行カードローンの上限金利は年率17.8%と、消費者金融と同水準です。
金利でカードローンを選ぶなら、上限金利の低い銀行カードローンを選ぶと良いでしょう。
ただし金利が低いほど審査は厳しくなる点には、注意が必要です。
借入枠(借入限度額)を増やす
上でも見たように、借入枠を増やせば適用金利が下がります。
ただし注意点が2つあります。
1つは、金利を下げるには、少なくとも借入枠が100万円を超える必要があります。
50万円ほどの借入では、金利引き下げの恩恵は得られません。
2つ目は、借入枠の増額には必ず審査がある点です。
信用力がイマイチだと増額できないので、ある程度の信用力がある人向けの方法だと言えます。
会社から金利引き下げの提案を受ける
カードローンをある程度利用していると、会社から金利引き下げの提案を受けることがあります。
金利引き下げの提案には、主に2つのパターンがあります。
・収入証明書を提出する
・借入枠を増額する
収入証明書は借入額が50万円以下であれば、提出義務はありません。
ですが会社側としては、与信管理の意味でなるべく提出してほしいところです。
そのため金利の引き下げの交換条件として、収入証明書の提出を求めてくるケースがあります。
また会社としては、利益を増やすためにも、たくさん融資をしたいと考えています。
そこで金利を下げるという条件で、借入枠の増額を提案する場合もあります。
たとえば現在、金利18%で30万円を借りている人に、金利17%で80万円の増額提案を行ったりします。
ただし増枠の際は審査が必要で、たとえ会社側からの提案であっても、審査落ちになる可能性もあります。
<関連記事>:消費者金融の審査担当者に聞いた!審査と取り立ての裏側
キャッシングの金利で注意しておきたい点
先ほどは、キャッシングの金利を下げる方法について見てきました。
ですが借入金利を下げたいなら、他にも方法はあります。
また金利を下げれば、返済負担も下がるとは限りません。
金利をさらに下げたいならキャッシング以外のローン商品を
消費者金融と銀行カードローンの金利は先ほど見た通りですが、その金利の高さに驚いた方もいるかもしれません。
金利幅があるとはいえ、初回借入では上限金利になることが多く、いきなり低い金利での借入は難しいです。
キャッシング金利を下げる方法も説明しましたが、少しハードルが高いのと、下げられる金利幅も限りがあります。
もし借入金利を下げることに重点を置くなら、カードローン以外のローン商品を選んだ方が良いかもしれません。
以下の表では、キャッシングをはじめとするローン商品の金利をまとめました。
ローンの種類 | 金利(年率)の相場 |
---|---|
銀行カードローン | 2.0%~15.0% |
消費者金融 | 3.0%~18.0% |
自動車ローン | 2.0%~3.0% |
教育ローン | 3.0%~10.0% |
フリーローン | 6.0%~7.0% |
住宅ローン | 0.5%~3.0% |
表からも分かる通りキャッシングの金利は、他のローン商品に較べて高めに設定されています。
金利だけ見ると他のローンが圧倒的に有利ですが、その分だけ制限も大きいです。
住宅ローンは住宅の購入資金に限定されますし、購入した住宅(や土地)は担保設定が必要です。
自動車ローン・教育ローンは無担保ですが、資金使途(お金の使い道)が厳しく制限されています。
フリーローンは無担保で資金使途は原則自由ですが、カードローンに較べて段違いに審査が厳しいです。
こうして見てみると、確かにキャッシングは金利が高いですが、手軽さや審査スピードの点で、他のローン商品に較べて圧倒的に有利です。
少額を急いで借りたい場合はキャッシングを利用し、まとまった金額を低金利で借りたい場合は他のローン商品を利用するとよいでしょう。
<関連記事>:カードローンとは?わかりやすく解説!
無利息サービスを利用すれば金利ゼロも可能
大手の消費者金融の中には、無利息サービスを行っている会社があります。
初回契約者に限定されますが、契約日の翌日から30日間の利息がゼロになります。
こうした無利息サービスは、銀行カードローンでは行っていません。
数ヶ月程度の短期借入なら、低金利の銀行カードローンよりも、利息を減らせる可能性があります。
ただし注意すべき点もあります。
まず無利息サービスを提供してる会社は、プロミスやアコム・レイクALSAなど、一部の会社に限られます。
また初回契約だけが対象だったり、メールアドレスの登録が必要だったりと、一定の条件が必要な場合もあります。
<関連記事>:無利息期間のあるカードローンの選び方
金利が下がったら返済負担が減るとは限らない
金利を下げることは大事ですが、返済の仕方によっては、金利を下げても返済負担が重くなるケースもあります。
金利 | 返済回数(毎月の返済額) | 利息総額 | 返済総額 |
---|---|---|---|
18% | 20回(17,473) | 49,465 | 349,465 |
16.5% | 25回(14,261) | 56,539 | 356,539 |
15% | 30回(12,053) | 61,592 | 361,592 |
12% | 40回(9,136) | 65,447 | 365,447 |
上の表は借入30万円で、金利と返済回数を変えた場合のシミュレーションです。
金利が下がっているはずなのに、トータルの返済利息(と返済総額)が逆に大きくなっていることが分かります。
これは返済回数が多い(=返済期間が長い)ことが原因です。
キャッシングの利息を決定する要素は、「適用金利」「借入額」「借入日数」の3つでした。
たとえ適用金利が下がっても、それ以上に借入日数が増えれば、返済負担は重くなります。
このように適用金利だけでなく、借入額や借入日数にも気を配ることが大切です。
<関連記事>:カードローン金利の仕組みを解説!利息の計算方法は?
ここまで、キャッシングの金利について見てきました。
金利の仕組みをよく理解しておけば、キャッシングで返済に苦しまずに済みます。
賢い借入を目指しましょう。
この記事のまとめ |
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